同志社の国登録有形文化財「フレンド・ピース・ハウス」解体撤去

 

同志社創設期に建てられた国登録有形文化財「フレンド・ピース・ハウス」(京都市上京区)が昨年11月に解体撤去されていたことが19日までに分かった。老朽化した同志社幼稚園をこの敷地に2020年4月に新築移転するためだ。

(写真:「造形礼賛」提供)

フレンド・ピース・ハウスは1887(明治20)年、京都御所の東隣に宣教医ジョン・C・ベリー(1847〜1936年)の自宅として建てられ、最近まで共同研究室や会議室などに使われていた。京都御所の北にある同志社の今出川キャンパスからは歩いて10分ほどのところにある。

同志社創設期の教員で建築家でもあるD・C・グリーンが設計した木造の洋館。かつて「梨ノ木屋敷」とも呼ばれ、木造2階建ての瓦ぶきでありながら、洋風の開放的なベランダなどを備えた和洋折衷。白い下見板の壁に、緑色に塗られた柱や窓枠が美しかった。面積約250平方メートル。ここに住んでいたジョン・C・ベリーは「東のヘボン、西のベリー」と称された人物で、1872(明治5)年に来日し、87年に開業した同志社病院院長と京都看病婦学校校長を兼務した。

(写真:「造形礼賛」提供)

1911年、ハワイのT・リチャーズ夫妻の呼びかけで設立されたフレンド・ピース奨学会の所有となったが、同奨学会が創立25周年を迎えたのを記念して、同志社に建物や土地の管理を託し、留学生のための学生寮、「Friend Peace House布哇(はわい)寮」として使われることになった。97年に改修工事がされ、国際親善と平和という理念を尊重して、その後はおもに国際交流施設として利用された。2006年に「洋風意匠を基調とした住宅」の好例として国登録有形文化財に登録された。しかし、老朽化が著しく16年3月で使用をやめていた。

移築も検討したが、建物の調査により、部材の3分の2が傷みで再利用できないことが判明し、経費も数億円になるため断念したという。

 






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