【chiyoのGOD ONLY KNOWS!】第10回 ブラジルにて(前編)

新年あけましておめでとうございます。

昨年の秋から始まったぼくのコラムも今回で10回目になりました。
いつも読んでくださるみなさん、ありがとうございます。
本年もお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします。

僕のバンド、サルーキ=の活動は年間ほとんどの移動が車なわけですが、全国ツアーを始めて、初めて北海道に行ったときがきっかけで飛行機を使うようになりました。そのうち沖縄にも飛行機で行くようになり、国内では北海道と沖縄のみ、飛行機での移動が恒例になったわけですが、2013年に初の海外ツアーの話がありました。

普通は日本のバンドが行くところと言えば、お隣の韓国や、ロックバンドならアメリカやヨーロッパが一般的かなと思うのですが、僕たちの場合は何と初の海外がブラジルでした。福島に住む知り合いの伝道者がブラジルのマナウスで大リバイバルが起こり、クリスチャンが爆発的に増加しているという噂をきいて、ひとり現地に赴(おもむ)き、そこでみた奇跡的な光景を帰国後、僕にしきりに語ってくれました。その街では毎年6月になんと100万人のクリスチャンが賛美を歌いながら一斉に街を行進する”ジーザスマーチ”というお祭りがあるといいます。そしてそのマーチのゴールである30万人収容のスタジアムで賛美集会がもたれ、もしそこで日本人が演奏するとしたらサルーキ=しか思い浮かばない、と興奮気味に誘われたのがきっかけでした。

ともあれ、空想のようなその話に最初はあまりピンとこない僕だったのですが、ブラジルのリバイバルの立役者のような偉い牧師が愛知県に来日して講演するので、話だけでも聞きにいこうと彼に誘われて、現地に赴くことに。愛知県あま市であった集会には、在日ブラジル人が満員で、僕らは最前列に案内されて、その有名な牧師のメッセージを聞くことになりました。 ブラジルの牧師はとにかく声がでかい。 そして一言発するごとに、後ろに控えてるバンドのドラマーがシンバルをぶっ叩くという、日本の教会では考えられないような、ど迫力のメッセージ。

牧師「夢のない奴は死ぬ!」
ドラム「ジャーン!」
牧師「だけど夢のある奴は生き残る!」
ドラム「ジャーン!」
観衆「うおー!」

ど直球、どシンプルなメッセージでしたが、そのメッセージが語られるなか、僕が考えたのは、僕の夢は音楽だけど、イエス様の夢ってなんだろう?ということでした。 講演会が終わったあと、楽屋に行ってその牧師に祈ってもらおうということになり、ご本人に会うことが出来ました。そこで僕たちは「いまブラジルに行くプランがあるのですが、ぼくらがブラジルに行くことが出来る様に祈ってください」 というようなことをお願いしました。 牧師は祈るのが仕事ですから、当然祈ってくれるだろうと思ったら、彼の答えは意外なものでした。

「さっきの集会で散々祈っただろう。ブラジルに来なさい!」

なんかもう、その言葉のパワーに押されて、思わず「はい」と言っている僕がいました。それから東京へ帰って、バンドのメンバーにブラジル行きのプランを話し、みんなに納得してもらって、なんと僕らはバンドの貯金すべてをこのブラジル行きに注ぎ込んで、まさに深みに漕ぎ出したのです。その時点で、ブラジルに行って演奏ができる確証もないままでしたが、なにか見えない力に押されるように、僕らサルーキ=は有り金ぜんぶはたいて、片道40時間かけて、まだ見ぬ世界、ブラジルのアマゾナス州マナウスを目指すことに。

人生はまさにGOD ONLY KNOWS!
この続きはまた次回のコラムで。 ☆chiyo☆

chiyo

chiyo

ロックバンド「サルーキ=」のボーカリストとして2003年テレビ朝日ミュージックよりデビュー。これまでに8枚のオリジナルアルバムを発表し、最新作「忠実のロックンロール」は伝説のシンガーソングライター小坂忠氏の監修のもと制作された。渋谷公会堂、日比谷野音などの単独ライブを経て、現在も国内外で年間120本のライブ活動を続けている。

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