ビル・ウィルソン・セミナー2018(メトロ・ワールド・チャイルド・ジャパン主催)が6日、日本橋公会堂(東京都中央区)で開かれ、約200人が集まった。
世界中で毎週10万人以上の子供が参加する世界最大の日曜学校「メトロ・ワールド・チャイルド(NWC)」(本部:米国ニューヨーク)の創立者で、主任牧師でもあるビル・ウィルソン氏(69)。12歳で母親に置き去りにされ、飲まず食わずで3日間、路上で母親を待ち続けていた時、1人のクリスチャン男性に助けられた。そして、イエス・キリストと出会い、神に一生をささげる決心をしたという。
そういった経験から、世界中の極貧地域に住む子供のために必要なものを提供することを使命とし、支援にあたっている。危険な地域にも足を運ぶため、これまで何度も命を失いかけ、昨年10月にもシリア国境近くの難民キャンプを支援していた時に銃撃されたばかりだ。
「私もかつては、誰からも愛されないみじめな少年でした。そんな私でも、神からのビジョンが与えられ、今や世界中を旅するようになりました。そして、何百万人もの前で神のビジョンを語り、子供たちに救い主イエス・キリストを伝えることができるのです。この神様の素晴らしい奇跡は、一人の平凡な信仰者によって起こされました」
マグダラのマリア、ペトロともう一人の弟子がキリストの墓に来た復活の朝の場面(ヨハネ20章)を通して、「あなたは何を見ていますか」とウィルソン氏は何度も問いかけた。
最初に来たマリアは、「石が取りのけてあるのを見た」(2節)。次に訪れたペトロも中に入り、「亜麻布が置いてあるのを見た」(6節)。そして、もう一人の弟子は「見て、信じた」(7節)。ウィルソン氏は、これらの「見た」には、それぞれ違う意味があると指摘する。
3人ともキリストと行動を共にし、復活の話も聞いていたが、マリアは物事を表面的に見ており、ペトロも自分の頭で理解しようと眺めているだけで、墓で何が起こったのか理解できていない。一方、もう一人の弟子は、「心でその状況を見て、同時に信じている」とウィルソン氏。
「『あなたは何を見ていますか』。この同じ問いかけが、歴史の中でずっと繰り返し問われています。今日、人類が賢くなっても、この問いの答えを見つけられない人が大勢いるのです」
次にウィルソン氏は、スクリーンに写真を映し出した。まず、中南米ドミニカで、道ばたに血だらけで倒れているお腹の大きい女性。妊娠しているのかと思ったら、実は大きな腫瘍ができていたのだ。2枚目は、ケニアで撮った、空腹のあまり泥を食べている男の子の写真。そして3枚目は、ハイチで撮った、泥で作られた丸いお皿が並んだ写真。これは、飢えで死んでいく子供が泣き叫ばないように食べさせる泥パイだ。
「同じものを見ながら、行動する人と、できない人がいます。12歳の時、路上にいる私をたくさんの人が見たはずなのに、助けてくれたのはたった一人でした。同じものを見ながら、ある人は無視し、ある人は目を留めて助ける。どうしてこのようなことが起きるのでしょう。私は、皆さん自身が答えを出すまで、同じ問いかけをしたい」
最後に、ケニアで麻薬漬けにされた子供たちを救ったある女性のエピソードが語られた。彼女は、ケニアで日曜学校を始めるビジョンを与えられ、ロンドンの家を売って、片道切符だけ持ってケニアに向かった。
「ごく平凡な一人の女性に与えられた偉大な神のビジョンが、多くの子供たちの命を救いました。彼女は、子供たちの姿をただ眺めただけでも、理屈で理解しようとしたのでもありません。心の目で見て、神の偉大なビジョンを受け取ったのです」
参加者の男子中学生は次のように感想を語った。「ビル先生の話を間近で聞けてよかった。内容が詰まっていて、初めから終わりまで少しも気を抜くことのないメッセージに感激した。イエス様に出会ったことを自信とし、その喜びを分けられるようにしたい」