日本福音ルーテル教会東教区による第30回宣教フォーラム(同実行委員会・東教区伝道奉仕部主催)が7月5日、日本福音ルーテル東京教会(東京都新宿区)で開催され、約100人が参加した。イスラエル出身の元兵士ダニー・ネフセタイ氏による講演とパネルディスカッションを通して、戦争・紛争の絶えない世界にあって、武力に頼らず平和を創造する道について模索した。
徴兵制のもと空軍兵士として3年間従軍した経験をもつネフセタイ氏は、「どうして戦争しちゃいけないの?」と題して講演。現在は埼玉県で木工職人として暮らす傍ら、反戦や脱原発をテーマに全国で講演活動を続けるネフセタイ氏は、日本に移住してからの気づきとして「戦闘機は人を殺すことと物を破壊することしかできない」「シリア人は中東で会えば〝敵〟だが、代々木公園で会ったら同じ人間として会話ができる。敵という概念は歪んだ教育と煽動によって作られる」などを挙げ、年間9兆9千億円の防衛費は毎秒31万円に相当すること、戦闘機が環境破壊にもつながっていることなどを指摘し、「戦争とは『人を殺してもいい』という国家による洗脳。現在のイスラエルは戦中の日本と同じ。渦中にいると気づけないので、外にいる人間こそが丁寧に説明しなければならない」と語った。
続くパネルディスカッションでは、ネフセタイ氏に加え、日本福音ルーテル教会牧師である内藤新吾(稔台教会・小岩教会)、市原悠史(蒲田教会・横須賀教会)の両氏と、ドキュメンタリー映画監督のゼルダ・エドマンズ氏が登壇。市原氏はネフセタイ氏の著書から教えられた言葉に触れ、「勇気をもって手放すことで平和の発信源になれる」と述べ、内藤氏は「原理主義的な聖書の読み方は加害性を持つ。正しい戦争などないし、核を持っていい国などない」と訴えた。エドマンズ氏は、自身が監督・プロデューサーを務めた映画『収監される世代』で投獄されたパレスチナ人の若者の話を聞いた体験を紹介した。
フォーラムの模様はYouTube(https://x.gd/EBkI0)でも視聴可能。