聖書はトランプ関税の対象外に  米国税関・国境警備局が明示

トランプ政権下の米国が中国など諸外国に課す関税において、聖書などの宗教書は対象外となる予定であることが分かった。「クリスチャニティ・トゥデイ」紙の問い合わせに対し、米国税関・国境警備局(CBP)が今月24日にそのように回答した。同紙が25日に報じた。

トランプ関税が聖書など宗教関連の輸入品にも適用されるかどうかをめぐってはこの1カ月ほど不透明な状況が続いており、米国のキリスト教界からは懸念の声があがっていた(本紙4月15日付「トランプ関税の米国キリスト教界への影響は」参照)。とりわけ米国内で用いられる聖書には印刷のコストや技術面の都合で中国からの輸入品が多く、関税の適用となれば聖書の高騰・品不足が起きる可能性が危惧されていた。

しかし米国税関・国境警備局は24日に「クリスチャニティ・トゥデイ」紙に対し、「聖書、祈祷書、その他の宗教書」は関税の対象外となると明言した。ただしその理由については説明できないとしている。

この措置の背景にはトランプ氏の支持基盤でもある米国内のキリスト教界への配慮があると考えられる。ただしこのような関税対象品目の恣意的な操作は、リベラル派から見れば「政教分離」原則に違反するものであり、今後批判が噴出すると見込まれる。トランプ氏は1期目の2019年にも同様に聖書を対中国関税の対象から外す措置を取っており、その際にはリベラル・世俗主義系の団体から「特定の宗教を優遇している」との批判を受けていた。

フリーダム・フローム・レリジョン財団(FFRF)は同年8月29日の声明で、「広範な関税制度から聖書だけを例外とすることは宗教的えこひいき(religious favoritism)である」「宗教を無宗教よりも優遇したり、特定の宗教だけを他の宗教より優遇したりすることは、米国憲法修正第1条の『政教分離条項』に違反している」としていた。今回の関税措置に対しても、同様の批判が出ると考えられる。

(木村 智)

トランプ関税の米国キリスト教界への影響は 聖書など宗教用品の値上がりに懸念の声 2025年4月15日

関連記事

この記事もおすすめ