ウェスレアン・ホーリネス神学院(東京都台東区、山﨑忍校長)の第30回入学式が4月6日に行われた。入学生は舩津悠大さん(淀橋教会)、岡聖志さん(山形南部教会)の2人。ちなみに3月に卒業したのは長谷川鐘大さん、岡恵美さんのやはり2人だ。これで在校生は4年生2人、3年生1人、2年生1人、1年生2人ということになる(休学中の人は除く)。
卒業した長谷川さんは浅草橋教会出身で、以前は山田記念病院脳神経外科部長を務めていたが、60歳を過ぎ、献身して伝道者の道を歩むことになった。「イエス・キリストにすべてを任せるのです。この方に、心も、頭脳も、魂も、意志も、また家庭も、いや、全生涯をこの方に任せ、自らはどんな注文も一切付けないのです」というジョン・M・ドレッシャーの言葉を「後援会会報」に引いている。
岡さんは山形南部教会の牧師の娘で、大学を卒業して1年後、献身の道に踏み出した。今年入学した岡聖志さんの姉だ。「最近、『弱くてよかった』と思います。『なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです』(2コリント12:10)の御言葉の通りです」と「後援会会報」に書いている。
入学試験は年に3回あり(11月20日、2019年2月5日、3月5日)、試験科目は聖書、英語、ホーリネス。大学・短大卒業、もしくはそれと同等の学力を有すると認められた者で、プロテスタント教会に属し、受洗後2年以上の者、明確な召命観を持ち、牧師の推薦を受けている者が受験できる。
ウェスレアン・ホーリネス神学院は1988年に設立され、今年で30周年。これまで77人の伝道者を送り出してきた。神学的にはウェスレアン・アルミニアン神学の立場で、聖書的・霊的・実践的聖潔(ホーリネス)を主唱し、その教理と体験を深めるとともに、それにふさわしい伝道者を育成することを目指している。ただ、ウェスレアン・ホーリネス教団の信徒だけでなく、さまざまな教派の人に開かれた超教派的伝道者養成機関。
原則的に全寮制だが、事情があれば通学・聴講もできる。入学金(5万円)、授業料(年間23万円)、その他(寮費・食費は月2万円)を払うことのできない人のために、奨学金や給費制・貸与制度もある。
教授は本間義信氏と峯野龍弘氏、その他、8人の准教授、2人の専任講師、2人の講師、5人の非常勤講師が4年間のカリキュラムを教えている。講義は火曜日から金曜日までで、土日は派遣教会での奉仕だ。
ホーリネスの神学校の歴史は古い。1901年、中田重治とC・E・カウマン宣教師により、東京・神田神保町に東洋宣教会中央福音伝道館が開設され、その館内に聖書学校が始められた。04年に淀橋町(現新宿)柏木に移設され、「柏木聖書学院」と呼ばれる。33年、ホーリネス分裂事件が起こり、中田と袂を分かった聖書学院の5人の教授(車田秋次、米田豊、小原十三司、一宮政吉、土屋顕一)は練馬区茂呂町に聖書学校を開校したが、42年のホーリネス弾圧により閉鎖。
戦後、日本橋芳町の聖都教会で「ホーリネス聖書学校」を再開したが、二つに分かれることになる。小原と一宮らは日本基督教団内に留まって「ホーリネスの群」というグループを結成。50年、「東京聖書学校」を淀橋教会内に移転して、22年間、小原が校長を務める。80年、東京都東久留米市に移転。94年、埼玉県吉川市に移って、今も日本基督教団認可神学校として続いている(島隆三校長)。一方、49年、車田や米田が日本基督教団から離脱して作った日本ホーリネス教団は、50年、柏木に「東京聖書学院」を設立する。63年に東京都東村山市に移転し、福音派の著名な伝道者を輩出してきた(錦織寛校長)。
ウェスレアン・ホーリネス神学院は、日本基督教団ホーリネスの群から離脱したウェスレアン・ホーリネス教団の人々によって、離脱の4年前に設立された。信仰告白しない人も受け入れるような教師検定試験問題が泥沼化し、それに伴ってホーリネスの群が分裂したことが原因だ。