聖フィリポ教会はかつて、ガザの小さなクリスチャン・コミュニティにデボーションのための避難所を提供していた。イスラエルの軍事行動によってパレスチナの飛び地の医療システムが壊滅的な打撃を受けた9カ月後、司祭たちはこの教会を病院に変えた。「プレミア・クリスチャン・ニュース」が報じた。
聖公会が運営するアル・アハリ・アル・アラビ病院は、ガザに残る他の医療施設と同様、高い需要のもと受け入れをしり込みしている。そこではベッドはアーチ型の屋根のもとに青ざめた石の壁に連なっており、医師が居場所を見つけられない患者の世話をしている状況だ。
「祈りのために指定されたスペースは、場所がないために診療所に変えられました。今日、私たちの優先事項は、できる限りすべての人間の命を救うことです」と、黒いシャツと聖職者の襟をつけたムンター・イサク司祭は語った。
あるベッドのそばで、酸素マスクを口に当てて横たわっている高齢の患者をあおいでいる男性がいた。身廊の壁には十字架が刻まれていた。聖フィリッポ教会はアル・アハリ・アル・アラビ病院と同じ敷地内にある。
「診療科に患者を受け入れる場所がなかったので、ガザではクリスチャンが礼拝する場所であるこの場所に頼らざるを得ませんでした」とモハメド・アル=シェイク医師は語った。「物資不足のため、私たちは会衆席を患者のベッドとして使用しました」という。
2023年10月7日に始まった戦争では、パレスチナの過激派組織ハマスの戦闘員がイスラエル国内のコミュニティを襲撃するために国境防衛線を襲撃し、イスラエルの集計によれば1200人が死亡、約250人が人質に取られた。これに対しイスラエルのガザ攻撃は同日から開始。9カ月にわたって砲撃が続けられ、パレスチナ保健当局によれば3万8000人以上が死亡、8万人以上が負傷したという。
紛争による負傷者の多さに加え、国連によれば、ガザ住民の90%が家を失ったため、病気や栄養失調が蔓延し、ガザの保健システムに大きな負担をかけている。しかし、世界保健機関(WHO)によれば、イスラエルの軍事作戦は、多くの病院やその他の医療施設を機能停止に追い込み、必要な医療物資の大幅な不足を引き起こしている。
イスラエルは意図的に医療施設を標的にしたり、医療物資がガザに入るのを止めたりすることは否定している。「もはや礼拝所ではなく、看護施設と化したこの教会で、私たちは基本的な医療サービスを受けています」と、聖フィリップ教会で治療を受けている病気の母親に付き添っていたアブ・モハメド・アブ・サムラ氏は語る。「それはガザ北部のイスラム教徒とキリスト教徒の連帯を示しています」
ヨルダン川西岸地区にはかなりの数のパレスチナ人クリスチャンがいるが、ガザではキリスト教コミュニティは非常に小さい。2006年以来、イスラム主義グループであるハマスによって継続的に支配されている。
(翻訳協力=中山信之)
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