「現役牧師×女子大生」の前は「現役牧師×女子院生」をしていた。大学と大学院の順番が逆なのだ。実は13年前にアメリカの小さな大学院(神学研究科)へ生意気にも飛び級を狙って受験した。その大学院にはクリスチャンカウンセリングの教科があり、すぐにでもそこで学びたかったのだ。なぜなら新居浜教会には心病んでいる人たちがたくさん相談に来ていたため、クリスチャンカウンセリングの最先端と言われるアメリカの大学院で学ぶ必要性を強く感じでいた。
そこで日本での牧会歴が11年あることをアピールし、クリスチャンカウンセリングを学ばなければならない理由を熱く書いて送付したところ、なんと奇跡的に合格通知が届いた。今、考えると英語も話せないのによく留学などしたものだ。「若気の至り」とは本当に恐ろしい。しかし、「主の山に備えあり」。授業では同時通訳の奉仕者がいてくださり、私は日本語で授業を聞くことができた。また幸いなことに、その時期に新居浜市は社会人学生にも奨学金を出しており、私はそれをいただくことができた。神様のタイミングは素晴らしい!
大学院ではさまざまな牧会カウンセリングを学んだが、中でも「グラフィックカウンセリング」という画期的な福音的カウンセリング方法との出会いは私の人生に大きな衝撃を与えた。それは、たった二つの質問と四つの図形を所定用紙にクライアントに描いてもらうだけで、その人が神様から与えられている賜物、気質、見直すべき課題、悩みなどが分かるというものであった。半信半疑の私であったが教授は私の描いた図形を見て、初対面であったにもかかわらず、当時、抱えていた悩みなどを見事に言い当てた。これには心底驚き、悔い改めへと導かれた。
大学院修了後、特許庁長官に商標登録を申請したところ、なんと日本初だったようで認可を受けることができた。現在、グラフィックカウンセリング®︎チャリティーセミナーを新居浜教会で開催している。クリスチャンはもとより、一般の方も多数、受講されている。長年引きこもっていた男性はこのセミナーを受けたことで自己理解、他者理解が進み元気になり、受洗され、自分にあった職場も見つかり、就職へと導かれた。このカウンセリング方法を牧会にも大いに生かしている。
こうした経験から、日本の教会はサバティカル制度を教団レベルで検討し、導入してほしいと思っている。そのことで、もっと牧師は生き生きと働き、さまざまな知識を身につけ、リフレッシュして長く仕えることが出来るのではないかと思うからだ。牧師という仕事は神様と人に仕える素晴らしい仕事であるが、見た目以上に激務で孤独にも陥りやすい。そのため、病んでしまう牧師も多いし、そうした牧師を見ている若者たちは希望が持てず、たとえ召命があったとしても「牧師になるのはやめでおこう」と思うのではないだろうか。
私は幸い、教会の理解があり、アメリカで学び、現在も女子大生をさせていただいている。毎日がとても楽しい。そのためなのか「牧師になりたい!」と言ってくれる青年(中高年も)が多い。いつか「憧れの職業ベスト10」に入るにはどうしたら良いのか?(それは神様の領域であるが)自分自身の生き方を通して、日々考え、行動していきたい。
ひろせ・かおり 1974年東京生まれ。横浜女子短期大学、東京聖書学校卒業後、日本基督教団秋鹿教会を経て、日本基督教団新居浜教会主任牧師。牧師をしながらShepherd大学大学院で学び、修士号取得。現在も牧師をしながら早稲田大学に在学中。国際ソロプチミストルビー賞受賞。趣味:猫と遊ぶ。水族館や動物園に行く。