Q.求道者にお勧めの入門書を教えてください。(50代・女性)
「この一冊」といったものはないと思います。
キリスト教についての理解を深めるための書物は山ほどあるでしょう。しかし、大切なことが一つあります。それは誰が、どのような視点からその本を書いているかということを見極めることです。著者についてはまだご存知でないことが多いと思いますが、出版社を見て本を選ぶということです。 いわゆるキリスト教書店やキリスト教の出版社から出ている本であれば間違いはないでしょう。キリスト新聞やカトリック新聞の広告に出ている出版社などはひとつの目安になります。
一般のメジャーな出版社から出されているハウツーものの本は、取っつきやすい反面、必ずしも専門の方が書いたり編集したりしているわけではありませんので、根本的な理解が欠けている場合が少なくありません。『○時間でわかる聖書』『聖書雑学○○』といったようなものです。
また、興味本位のタイトルで出版される本もあります。『ダ・ビンチ・コード』や『イエスの仮説』『イエスのミステリー』など、出版された時はベストセラーになりますが、それこそ「仮説」にすぎないことや個人の独特な見解に基づいて書かれたもので、キリスト教界の常識とは相いれない内容であったりします。このような本は全国的に、また世界的に話題にはなりますが、時が経てば忘れ去られていくものです。
インターネットを利用するのもいいでしょう。またラジオやCDを聞いたり、ビデオを見るのも役に立つと思います。キリスト教放送局FEBCは毎夜全国放送をしています。同局のインターネット放送も毎日更新されています。キリスト教出版社からいい雑誌もたくさん出ています。それを読むのもいいと思います。
「求道者」が洗礼に導かれるまで、人だけではなく、さまざまな出版物との出会いもあるでしょう。牧師や神父によって求道者の指導方法は異なっているかもしれません。
私としては、それぞれの求道者の方が誕生からのご自分の人生をじっくり振り返るのが一番いい洗礼の準備になると考えています。
やまもと・まこと 1953年福岡県生まれ。80年、カトリック司祭となる。81~85年、ローマ在住(教会法研究)。福岡教区事務局長、福岡カトリック神学院院長などを経て、カトリック西新教会主任司祭、