11月29日 ヤコブの手紙4章15節

むしろあなたがたは、「主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」と言うべきです。
ヤコブの手紙4章15節(参照箇所同書4:13〜17)

 

人がこの地上であれもしたい、これもしたいと思うときには、人生がいつまでも長続きをすると思っている、明日死ぬとは考えていない、しかし人の一生は明日のことも分からず、たちまち消えて行く霧にすぎないと手紙の著者は警告します。

彼は、だからといって、なにをしても無駄であるとは考えないのです。むしろ人は、はかなく消えて行く人生なのだから、なおのこと愛おしく思えるのであって、短い人生を大切に生きなければならない、それには、生き方を変えなければならないと著者は言いたいのです。

そのためには、「主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」と自分に言い聞かせなければならないと言うのです。御心のままに生きるとは、なるようになれではありません。究極のお方の御心に委ねて今日を生きることです。

言い換えれば、極めて終末的な生き方であり、地上では緊張をはらんだ生活のことです。教会が高齢者を多く迎えるようになったということは、このような生き方を現に送っている人たちを教会の中に見るということであり、そのような生き方でなければ、今日をしのげないという人たちが増えているということでもあります。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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