WCC代表団がウクライナ訪問 「我々の連帯示すために来た」

8月31日から9月8日にかけて世界教会協議会(WCC)総会がドイツ南部カールスルーエで開催されるのを前に、WCC代表団が8月1日から5日までウクライナを訪問した。代表団は今回の訪問で、宗教問題に取り組むさまざまな国家機関と面会し、進行中の戦争の犠牲者から話を聞いて、ウクライナ教会代表団のメンバーに出国の許可を与え、カールスルーエでの第11回総会に出席できるよう支援を求めた。

WCC代表団は、地元の教会や国家機関の代表者と会談。訪問中、総幹事代行のイオアン・サウカ氏にWCC副総幹事で信仰職制委員会委員長のオダイル・ペドロソ・マティアス氏、広報担当のイバルス・クプシス氏が同行した。

サウカ氏は「私たちはウクライナの人々への連帯を示し、カールスルーエで開催される次のWCC総会にウクライナの声が反映されることを確認するために来た」と、民族問題・良心の自由のためのウクライナ国家サービス局代表のオレナ・ボグダン氏に伝えた。

ウクライナ民族問題・良心の自由のための国家サービス局は最近、ウクライナの14の地域にある少なくとも183の宗教施設がロシア連邦の攻撃によって全部または一部が破壊されていると報告。それらには、2022年2月24日から7月23日の間に破壊されたウクライナの宗教共同体の教会、モスク、シナゴーグ、教育、行政の建物が含まれている。

訪問中、WCC代表団はウクライナの文化・情報政策大臣であるオレクサンドル・トカチェンコ氏とも会談し、現在の戦争はウクライナのすべての宗教団体を含むウクライナ人のアイデンティティに対する戦いであることを強調した。トカチェンコ氏はまた、ウクライナの文化・情報政策省が世界の150の国際機関に対して、ロシアのウクライナに対する侵略戦争が続いている間はロシアの参加を停止するよう訴えたことを伝え、WCCにも同様の対応を求めた。

これに対し「WCCは、自分たちの間で合意していない教会間の対話を促進するために設立された」とサウカ氏。「従って、私たちは排除するのではなく、正義と平和のために働くよう会員に挑戦することを目的としている」。今年7月に開かれたWCC央委員会は、一部の教会から出た停止案を深く議論し、今後も教会が出会い、互いに挑戦し、公正な平和に基づく和解と癒しの方法を探す開かれたプラットフォームというアイデンティティを維持し続けるべきとの結論を全会一致で決定した。

WCCの視点とアプローチを聞いたトカチェンコ氏は、WCC総会に十分な数のウクライナ人を参加させ、彼らが今日のウクライナの状況と現実について自ら語れるようにすることを求めた。

ウクライナ大統領府のオレクシー・ドニプロフ副長官は、WCC代表団とウクライナ教会・宗教団体協議会との会合に参加し、オレナ・ゼレンスカ大統領夫人の訴えへの対応とWCCが出したすべての支援声明に対してサウカ氏に感謝の意を伝えた。ドニプロフ副長官との会談でサウカ氏は、ウクライナ大統領府にWCC第11回総会へのウクライナ代表の参加を支援するよう要請し、カールスルーエでの総会のために代表参加者がウクライナから出発する許可を得た。

全ウクライナ教会・宗教団体協議会(AUCCRO)の代表者たちとも会談。アルメニア使徒教会(アルメニア正教会)ウクライナ教区主教でもあるAUCCROのマルコス・ホフハニシャン議長は、「ロシアが侵攻する中で行われた今回の会談は、私たちにとり、またウクライナの宗教界にとって非常に重要なもの」と述べ、代表団を歓迎した。

AUCCROは、正教会や東方典礼カトリック教会、カトリック教会、プロテスタント諸教会など、キリスト教の各教派に加え、ユダヤ教やイスラム教の宗教団体も加盟しており、ウクライナに存在する宗教団体の95%をカバーしているという。

サウカ氏はすべての会合で、来るWCC第11回総会へのウクライナ教会の参加の重要性を強調し、「この総会は、ウクライナの人々が世界のWCCフェローシップに呼びかけ、ウクライナの戦争の終結と公正な平和の再確立のために共に分かち合い、祈る機会である」と語った。

(翻訳協力=中山信之、CJC)

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