バチカンの元国務長官、枢機卿会の前主席、アンジェロ・ソダノ枢機卿が5月27日、新型コロナウイルスによる肺炎のため入院先のローマ市内の病院で亡くなった。94歳。「バチカン・ニュース」が報じた。
ソダノ枢機卿は、聖ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世の2代の教皇のもとで、1991年から2006年まで国務長官を務め、05年から19年まで枢機卿会の主席にあった。長きにわたりバチカンの外交に携わる中、国際平和のために貢献した。
1927年、イタリア・ピエモンテ州イーゾラ・ダスティ生まれ。1950年、アスティで司祭叙階。59年、教皇庁の外交の世界に入り、エクアドル、ウルグアイ、チリの教皇大使館に務めたほか、使節メンバーとしてルーマニア、ハンガリー 、東ドイツを訪問した。77年、ノヴァ・ディ・チェーザレ名義大司教のタイトルと共に、チリ教皇大使に任命される。翌年司教叙階。チリとアルゼンチン間の領土をめぐる対立回避に尽力。88年、国務省外務局長、ロシアのための教皇庁委員会議長。91年、国務長官に指名と共に枢機卿に任命。2002年、枢機卿会副主席。
05年、ベネディクト16世が選出されたコンクラーベに参加。ベネディクト16世より、国務長官職における留任を確認された。それまで枢機卿会主席であったヨハネ・ラッツィンガー枢機卿の教皇登位に伴い、枢機卿会の選挙が行われ、新たに枢機卿会主席に選ばれた。06年、定年を理由とする国務長官からの引退願いを承認される。12年、14年、15年のシノドスに参加。19年、枢機卿会主席を引退した。
ソダノ枢機卿の逝去によって、現在の全枢機卿数は208人、そのうち教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は117人、投票権を持たない80歳以上の枢機卿は91人となった。(CJC)