日本カトリック正義と平和協議会(ウエイン・バーント責任司教)は2月25日、ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて「ウクライナへのロシア軍軍事侵攻の中止を!」と題する声明を発表した。
声明は、今回の侵攻について国際法に反するとしつつ、「 武力では真の問題解決は」ない、「戦争によっては、いかなる平和も勝ち取ることはでき」ないと指摘。同日が、教皇ヨハネ・パウロ二世が広島で『平和アピール』を発表した日に当たることから、「戦争は不可避なものでも必然でもない」「人類は、自己破壊という運命のもとにあるものではありません。イデオロギー、国家目的の差や、求めるもののくい違いは、戦争や暴力行為のほかの手段をもって解決されねばなりません」との言葉を引用した。
「あらゆる武力行使に反対」する同協議会として、世界中の市民、および政府関係機関に対し「いますぐ戦争をやめよと声をあげましょう」「軍事同盟による戦争抑止の考えを捨て、対話による平和構築への最大限の努力をして下さい」と呼びかけている。
声明の全文は以下の通り。
声明文 ウクライナへのロシア軍軍事侵攻の中止を!
昨日(2月24日)、日本時間正午、ロシア軍がウクライナ軍事侵攻を開始しました。すでに両軍のみならず、民間人にも死傷者が出ていることが伝えられています。また、ウクライナ国境地帯にはチェルノブイリ原子力発電所があり、ロシア軍に制圧されたとの情報も伝えられ、大変心配です。今後さらに死傷者が増えること、まして核兵器が使用される事態は、何としても防がなければなりません。
ロシアのウクライナ侵攻は、国際法に反します。 武力では真の問題解決はありません。戦争によっては、いかなる平和も勝ち取ることはできません。
今日は、いまから41年前、当時のローマ教皇聖ヨハネ・パウロ二世が、原爆投下から36年たった広島で『平和アピール』を発表した記念すべき日に当たります。いまいちど、そのことばに耳を傾けましょう。
戦争という人間がつくり出す災害の前で、「戦争は不可避なものでも必然でもない」ということをわれわれはみずからに言い聞かせ、繰り返し考えてゆかねばなりません。人類は、自己破壊という運命のもとにあるものではありません。イデオロギー、国家目的の差や、求めるもののくい違いは、戦争や暴力行為のほかの手段をもって解決されねばなりません。人類は、紛争や対立を平和的手段で解決するにふさわしい存在です。
(聖ヨハネ・パウロ二世 広島『平和アピール』1981年2月25日)
パンデミックや気候変動など、人類が一致して解決せねばならない深刻な問題に直面している21世紀のいま、軍事力の行使などもってのほかです。
日本カトリック正義と平和協議会は、あらゆる武力行使に反対します。ロシアとウクライナの戦争の拡大を一刻も早く止め、被害を最小限にするために、世界中の市民のみなさんに呼びかけます。いますぐ戦争をやめよと声をあげましょう。また、特に世界中の政府関係機関の方々に呼びかけます。軍事同盟による戦争抑止の考えを捨て、対話による平和構築への最大限の努力をして下さい。