「いわさきちひろ展」茨城県近代美術館で開催、希少な油彩画作品も紹介

 

 

赤い帽子の男の子 1971年 ちひろ美術館蔵

「いわさきちひろ展」(主催:茨城県近代美術館/ちひろ美術館)が7月 24日(土)から、茨城県近代美術館(茨城県水戸市)で開催されている。8月29日(日)まで。

いわさきちひろ(1918~74年)は、「世界中のこどもみんなに 平和と しあわせを」と願い、生涯にわたって子どもを描き続けた日本を代表する絵本画家。やさしいタッチと清らかな色彩で描かれたその作品は、没後半世紀以上たった今でも色あせることがない。

はなぐるま 1967年 ちひろ美術館蔵

同展では、終戦後、新聞や絵雑誌などの挿絵を描き、童画家として世に出たちひろが、次第に絵本画家として才能を開花させ、絵と文が一体となった創作絵本『あめのひのおるすばん』(至光社、1968年)等によって絵本の世界に新境地をもたらすに至る、その生涯と作品を、豊富な資料を交えて紹介する。

ちひろの作品といえば、やさしいタッチ、清らかな色彩、かわいい子どもらがすぐイメージされる。しかし、その一方で、戦争を経験し、「絵描き」として生きることを選んだ彼女の人生は決して平坦なものではなかった。妻として、母として、そして絵描きとして、力強く生き抜いた姿があった。今回、そういったちひろの人生にも注目し、希少な油彩画作品など、初期から晩年の作品、約120点を網羅的に展示する。

「あめ」 1960年頃 ちひろ美術館蔵

展示構成は、以下のとおり。

プロローグ ちひろの四季―季節のうつろいと子どもたち
Ⅰ    ちひろの童画―初期の紙芝居・雑誌・絵雑誌など
Ⅱ   ちひろの絵本―新たな世界を開拓
Ⅲ  ちひろの生涯―絵描きとして、母として
Ⅳ  ちひろと子ども―あかちゃんの月齢までも描き分ける
Ⅴ   ちひろと戦争―罪のない子どもたちが犠牲になること
Ⅵ  ちひろの技―感じたとおりに描くこと

カーテンにかくれる少女 1968年(『あめのひのおるすばん』至光社より) ちひろ美術館蔵

ところで、ちひろの代表作でもある『あめのひのおるすばん』は、キリスト教児童文学・カトリック系児童出版社・至光社を設立した武市八十雄(たけいち・やそお)さんが、「僕は小さい頃、雨が降るといつもお留守番させられたんだよね」の言葉がきっかけとなってアイディアが生まれた。当時、武市さんとちひろは、新しい絵本を作ろうと志を共にする編集者と作家だった。生前のインタビューで、ちひろが膝に我が子を眠らせながら、絵を描いていたことや、子どもが見せる一瞬の表情が指に伝導され、絵になっていったと語っている。

開館時間は、午前9時半~午後5時(入場は午後4時半まで)。休館日は月曜日。 ※ただし、8月9日(月・振休)は開館、翌10日(火)休館 。入館料は、一般 1100(1000)円/満70歳以上550(500)円/高大生870(730)円/小中生490(370)円。※( )内は20人以上の団体料金   ※障害者手帳・指定難病特定医療費受給者証等持参の方は無料

★WEB予約を推奨。詳しくは、美術館ホームページまで。

※写真の無断転載を禁じます。

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