今日も日刊キリスト新聞クリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。
毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章から、皆様の役に立つこととか立たないこととかを話してみようという【聖書からよもやま話】、
今日、選ばれたのは新約聖書、ヨハネの福音書18章です。このコーナーでいよいよ初めてイエス様が登場します。それではよろしくどうぞ。
◆ヨハネの福音書18章3節
それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやパリサイ人たちから送られた下役たちを連れ、明かりとたいまつと武器を持って、そこにやってきた。
これはイエス様がユダに裏切られて捕縛されるシーンです。この後でイエス様は裁判にかけられ、そして十字架刑に処されることとなります。ここでイエス様を捕まえにきた人がどんな人であったかがこの節に書かれているのですが、ここに「一隊の兵士」とあります。「一隊」っていったい何人くらいなのでしょうか。10人くらいでしょうか、50人くらいでしょうか。いいえ、そんな数ではありません。この「一隊」というのはなんと600人だそうです。武装もしていない、一人の人物を捕まえるのに、武装した兵士が600人もやってきたんです。
現代日本で言えば、一人の犯罪者を捕まえるために機動隊が600人出動するようなものです。ちなみにあの「浅間山荘事件」でも最終的に突入した機動隊員は28人です。あの事件は犯人グループも武装していましたし、人質もいました。しかしイエス様は当然、人質なんてとっていませんし、どこかに立てこもっていたわけでもありませんし、武装もしていません。そんな人に対して600人を動員したんです。ちょっと尋常じゃありません。
イエス様は「神の国がくる」とか教えていたので、「この人はこのローマ帝国を転覆させようとしているのではないか」と誤解されていたのかもしれません。そうだとすればローマ帝国からすればイエス様は「国家転覆を図るテロリスト」みたいなものですから、これだけの兵士を動員するのもまぁ分からなくもありません。さらにはイエス様は弟子たちと一緒に行動していたので「テロリスト集団」くらいに思われていた可能性もあります。武装に関してもこの後、弟子のペテロがローマ兵の耳を剣で切り落としてイエス様に「やめなさい」と怒られたりしているので、多少の装備はしていたのかもしれません。
・・・とはいえ600人って。・・・やりすぎ。イエス様は何の抵抗もせずに捕らえられたので、後ろの方にいた兵士はイエス様の姿も見えなかったかもしれません。どんな会話がなされ、何が起こったかもわからなかったかもしれません。それで「なんだったんだ?こんな夜中に出動させられて・・・眠いよ。ちゃんと夜間勤務手当て出るんだろうなー」とか愚痴ったかもしれません。色々と想像はふくらみます。
でも大事なのは600人という数字よりも、「全力で潰しにかかった」という事実です。当時の最大の国家であるローマ帝国、これは今のアメリカ合衆国よりも世界的な影響力がありました。そんな国が全力でイエス様を捕らえたのに、それでも最終的にイエス様は十字架から復活し、その業を成し遂げたんです。どんな強大な国がどんな軍事力を用いても、神の国は壊せない、と、そういうことなんですね。
ちなみに現在の日本の小学校の生徒数の平均は381人だそうで、全校生徒600人と言ったらちょっとしたマンモス校です。襲ってきたのが600人の兵士ではなく、600人の小学生だったら・・・それはそれで脅威ですね。
それではまた。
主にありて。MAROでした。