第8回首都圏宣教セミナー(3)教会実務のマニュアルは聖書 

大嶋重徳さん(Zoomより撮影)

第8回首都圏宣教セミナー(主催:OCC首都圏宣教推進協力会)が5月22日、「牧師と教会員のための『こんな時どうする?』~教会実務を神学する~」と題してオンラインで開催され、全国から約400人が参加した。プログラムの最後には4人の登壇者による座談会が行われた。

テーマは、「牧師との対話から生まれるもの〜牧師の本音、信徒の応答」。この日2回の講演を務めた山崎龍一(やまざき・りゅういち)さん、日本福音同盟理事長の石田敏則(いしだ・としのり)さん、日本キリスト合同教会・板橋教会牧師の大井満(おおい・みつる)さんが登壇し、司会を鳩ヶ谷福音自由教会牧師の大嶋重徳(おおしま・しげのり)さんが担当した。

大嶋:私は1997年に大学卒業した後、キリスト者学生会(KGK)の主事になったのですが、その時の上司が山崎さんでした。忘れられないのは、「自分には社会経験がないとは絶対に言うな。社会経験があるとかではなくて、召しで生きているんだ」と言われたことで、心の底から痺れました。お二人は今日の話を聞いていてどうでしたか。

石田敏則さん

石田:今回、400人を超える人たちが登録し、中には教会をあげて参加してくれていることを考えると、このテーマは多くの人が必要としていることなのだと強く感じました。牧師が、教会の働きにしっかり繋がり、安心して牧会に携わっていくには今日のセミナーで語られたことは本当に大切だなと思います。

大井:特に心に残っているのは、「教会実務を神学する」という言葉です。実務はルーチンワークで、学問とは別に考えてしまうのですが、教会の働きであるとき、それはやはり神学しなければならない。あと、これは信徒がやること、これは牧師がやること、いう分担構造ではなくて、お互いに責任を負いながら、きっちりやっていくことが大事だなと思いました。

大嶋:お二人は、牧師になられたときに、教会の実務などをどのように捉えていらっしゃいましたか。

石田:財務のことは他の担当者がいるけれど、法人のことは宗教関係なのだから在住している牧師がやりなさい的に仕事が回ってきました。おかげでずいぶん勉強になりましたが、若い頃は、牧会するよりもを、そういう事務的な仕事──たとえば、責任役員会の議事録作成や、都庁へ出向くなど、がたくさんあったなと思い出します。

大井満さん

大井:赴任した最初の教会で、宗教法人登記を経験しました。本当は、私が赴任する前にすべて終えておくという約束だったのですが、行ってみたら何もできてなくて、そこから宗教法人設立の準備を一通りし、登記所に行かなければなりませんでした。当時の登記所はコピーの制限なども厳しく、そういう時代に鍛えられ、その後もさまざまなな法人事務に関わってきました。事務作業は決して好きではないのですが、いろいろやってきました。

大嶋:山崎さんは、KGKで実務を担当されていかがでしたか。

山崎:KGKにいる時に、日本キリスト教連合会というところで、教会の会計実務などの勉強会があって参加しました。参加者にはカトリックの人もいて、そこで講師の先生のほとんどが「本当はこういうのは好きではない。もっと伝道に集中したい」と言われるので、これは何かが違うのではないかと思いました。でも、それが何かは当時分からなくて、それを20年間追求してきてその集大成がこの『教会実務を神学する』です。

大嶋:何が違ったのですか。

山崎:一つは、全部の世界を神様がおさめておられるという福音理解ができていなかったことではないかと思っています。また、予算などすぐに解決できないないことを、本気で祈っているかということです。捧げることにおいても、与えらたお金を上手に配分することにおいても、知恵を尽くしていく。本気で祈っていくならば、その祈りの輪は広がっていくはずです。

大嶋:組織や制度というと、ある程度出来上がったものだと感じてしまいます。神様が生きて働かれる制度や組織や財務体質はどのように作っていけばいいでしょうか。

山崎龍一さん

山崎:正解は正直分かりません。でも、聖書をきちんと読んでいくと、特に旧約聖書では、組織化する手順や、労務管理、経営管理といった事柄が書かれています。ネヘミヤ記では、破れ口の修繕についても記載されています。それらを読むと「どうして組織をこの世のものと言ってしまうのかな」と、逆に感じてしまいます。

大嶋:山崎さんの本の第6章には役員の資質などについても書かれています。こういう役員でいてくれたらという本音を聞かせていただけますか。

大井:自分と教会を切り離して、教会はこうあるべきと、第三者的なコンサル担当のような評価をするのではなくて、自分も枝として繋がっているこの教会をどうしていくか、そのことを同じ枝である牧師とともに祈ってくれる人かなと思います。

石田:常にベタベタというのはよくないかなと思っています。教会のことや、自分の人生の岐路に立つような大切な決断をするときに、祈ってくださいとか、どう思いますかとか相談してくれると嬉しいですよね。

大嶋:山崎さんが、お手本にされた役員はいらっしゃいますか。

山崎:もちろん、先輩役員の話などから学ぶことはありますが、私が一番学んだのは礼拝の説教からです。語られる説教をどれだけ聞くかということが、信徒の責任だと思っているので。説教の間はずっと寝ているけれど、会計になったらすごく発言するのはどうかなと思う。諸先輩の所作から学ぶことを前提にしながら、学ぶべきは、今日語られた御言葉に応答して役員は奉仕をする、ここが肝かなと思います。

大嶋:では、信徒として、こういう牧師だといいなということはありますか。

山崎:先生方によって賜物も資質もそれぞれなので、そこのところに目を向けると、何か大事な物が壊れてしまう気がします。むしろ説教とかそこに付随するその先生が持っている神学的なところですね。難しい言葉ではなく、物事をどう見るか、そういうことを会話できたらいいなと思います。それには信頼関係も大切になりますが、私が牧師に求める一番のことです。

大嶋:最後にお一人ずつコメントをお願いします。

大井:教会実務も、教団・教派をある意味超えて、お互いに助け合う関わり方をしていければと思います。お互いに助け合えるという関係。そして、神様に喜ばれ、法律に違反することのない、教会の形成をしていきたいと思います。

石田:誰かと繋がりながら、それぞれの教会が抱えている問題をクリアにしていけたらと思います。このたび、お茶の水クリスチャンセンター(OCC)5階に、行政書士や税理士など教会実務に関する専門家が集まりました。よい相談場所ができたので、首都圏宣教セミナーもその一端を担うことができればと願っています。

山崎:法律というのは、意外にも答えは一つではありません。見方によっていろいろな考え方があり、教会的にはどうなんだろうということがたくさんあります。それらを見極めていくために教会的な見方を学ぶ交わりを広げたいと考えています。今回はそのスタートで、次のステップにつなげていきたいと思っています。

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