恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。だから、あなたを襲って危害を加える者はない。この町には、わたしの民が大勢いるからだ。(使徒言行録18章9〜10節)
パウロはアテネを去って、一人でコリントヘ行った。コリントは二つの貿易港を持つ商業都市である。アフロデテの丘には大勢の娼婦を抱える神殿があり、道徳面で堕落した町でもあった。パウロはコリントに来た時の心境を「わたしは衰弱していて、恐れに取りつかれ、ひどく不安でした」(Iコリント2・3)と言っている。開拓伝道者には、いつも弱さと不安がつきまとう。しかし、神は彼のために協力者を用意しておられた。最近、ローマから来たアキラとその妻プリスキラである。同業であったので、パウロは彼らの家に住み込み、テント造りで生活の資を得ながら、安息日に、ユダヤ人やギリシア人に伝道した。自給伝道である。日本では、小さな群れの教会が多いので、自分で生活の資を得て教会に仕える兼職牧師が必要とされる。そのために、教会によく仕え、神学を学び、いつ神の召しがあってもよいように備える信徒が求められる。兼職牧師を迎えた教会は、牧師が一日も早く宣教に専念できる態勢づくりを怠ってならないことは言うまでもない。
シラスとテモテがマケドニア州からやって来ると、パウロはみ言葉を語ることに専念した。今日の聖句は、気弱になり、不安を感じていたパウロに、主が幻の中で語られた言葉である。伝道者は信じる者が起こされないと、気弱になり、不安になる。そのような伝道者に、今日も、神は「語り続けよ」と語っている。信じる者を起こすのは神であって、伝道者の仕事はみ言葉を語り続けることである。「御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くても悪くても励みなさい」(Ⅱテモテ4・2)。