今日10月18日は長岡輝子が召天した日です。日本の現役女優として最高齢の102歳でした。女性演出家の草分けで、戦後は「東京物語」など小津安二郎作品やNHK連続テレビ小説「おしん」などの演技で存在感を発揮しました。
英文学者でクリスチャンの長岡擴(ひろむ)の三女として盛岡で生まれ、小学3年の時に東京に移り、小崎弘道が牧師を務めていた霊南坂教会(現・日本基督教団)に通いました。東洋英和女学校を経て、演劇を勉強するために20歳で渡仏。2年後に帰国し、女優としての歩みを始めます。
晩年は活動の主体を演劇から朗読に移し、聖書朗読活動にも力を入れました。その功績が認められ、日本キリスト教文化協会よりキリスト教功労者の表彰を受けています。また、同郷の宮沢賢治の童話と詩を岩手の方言で読む朗読会をライフワークとし、その功績に対して菊池寛賞が与えられました。
私はプロテスタントの信者ですが、賢治さんとの間にまったく違和感がない。むしろ賢治さんの仏教も私のキリスト教も同じだと強く思うのです。それは私も賢治さんも、宗教の根本をたえず問い続けているからだと思います。それよりも、宗教と関わりなく賢治さんを理解する方々とは、共有できない相違を感じてしまいます。(『老いてなお、こころ愉しく美しく』草思社)