今日9月2日はトールキンが亡くなった日です。「基本的には宗教的でカトリック的作品」と自ら述べた壮大なファンタジー『指輪物語』(評論社)が「ロード・オブ・ザ・リング」の3部作「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」として2001~03年に実写映画化され、アカデミー賞で17のオスカーを獲得しました。
トールキンは早くに両親を亡くし、カトリック司祭に育てられました。8歳のとき、母親がバプテストからカトリックに改宗したことにトールキン自身も大きな影響を受け、生涯、忠実なカトリック信徒として歩みました。
オックスフォード大学を卒業後、第一次世界大戦に従軍。トールキンは辛うじて生還できたものの、親友たちは戦場で次々と命を落としました。この壮絶な体験が『指輪物語』執筆の背景にあるといわれます。
『指輪物語』は、指輪という重荷(十字架)を背負った主人公フロド、再臨した王である旅の仲間アラゴルン、死からよみがえった仲間ガンダルフなど、聖書的な出来事や考えが散りばめられています。トールキンが信仰に導いた親友C・S・ルイスの『ナルニア物語』とともに、クリスチャン文学にかぞえられています。
作品の知名度に比べ、その素顔についてはあまり知られていないトールキンですが、その少年期と青年期を描いた伝記映画「トールキン 旅の始まり」が8月30日から公開されています。