聖路加国際病院で起きたチャプレンによる「性暴力訴訟」の東京地裁判決を受けて、被告の牧師が所属する日本基督教団(雲然俊美総会議長、秋山徹総幹事)は12月28日、対応の遅れと被害者の声を丁寧に聞けなかったことを謝罪する声明を発表した。
声明では、「刑事事件としては不起訴となったこと」「日本基督教団に関連する施設ではなく、他教団の施設(聖路加国際病院)で起こったこと」「(当該牧師が)日本基督教団の無任所教師であったこと」などを事由に、「長らく実質的な対応」ができなかったことについて「教団内の組織に不備」があったと認めた。
その上で、「今後は、日本基督教団の教師の養成と育成において、本件のような痛ましいことを防ぐために、ハラスメントに関する学習と啓発に努めるとともに、教会を始めとする関連施設においても、再発防止策に取り組みます」「日本基督教団として迅速に対応できるよう、組織上の課題についても検討することをお約束いたします」と表明している。
全文は以下の通り。
日本基督教団所属教師による「性暴力訴訟」に関する判決を受けて
このたび、日本基督教団の無任所教師に関連する民事訴訟において、損害賠償請求の一部が認められました。刑事事件としては不起訴となったこと、また、本案件が、日本基督教団に関連する施設ではなく、他教団の施設(聖路加国際病院)で起こったことなどに鑑みて、原告の方の訴えに、真摯に向き合うことなく、ここにまで至りましたことに深くお詫び申し上げます。
当該教師が日本基督教団の無任所教師であったことにより、当初、所在地を確定することが出来ませんでした。その後判明し、所属する教区によって対応が始まりましたが、そこに至るまで、原告の方から求めがあったにもかかわらず、長らく実質的な対応をしてきませんでした。本事案を扱う上において、教団内の組織に不備がありました。
いかなる理由があろうとも、対応が遅れましたこと、並びに、「被害を受けた」との声を丁寧にお聞きしてこなかったことに対して、日本基督教団として、重ねてお詫び申し上げます。
今後は、日本基督教団の教師の養成と育成において、本件のような痛ましいことを防ぐために、ハラスメントに関する学習と啓発に努めるとともに、教会を始めとする関連施設においても、再発防止策に取り組みます。また、併せて、このような事案が起こったとき、日本基督教団として迅速に対応できるよう、組織上の課題についても検討することをお約束いたします。
2022年12月28日
日本基督教団 総会議長 雲然俊美
総幹事 秋山 徹