日本聖公会の武藤謙一首座主教と同正義と平和委員会の上原榮正委員長は8月15日を迎えるにあたり、「8.15平和メッセージ」を7月20日、ホームページに公開した。
この中で、ウクライナをはじめ世界各地で起きている戦争・紛争が一日も早く終結するよう祈り、「今問われていることは、平和への決断です。憲法を改憲し、防衛予算を増額して軍備を増強し、戦争に備えるのか、あるいは平和の創造のために、国際社会に訴え、軍備を縮小し、核を無くし、戦争が起こらない、起こさない努力をするのかです」「罪は外から心に入り、心を騒がし争いを起こします。『主の平和』は心の内から始まり、外へと働き平安にします。世界平和を祈り、平和の器として歩む決意を新たにしましょう」と呼び掛けた。
全文は以下の通り。
日本聖公会首座主教 主教 ルカ武藤謙一
正義と平和委員会委員⻑ 主教 ダビデ上原榮正
8.15平和メッセージ
主の平和をお祈りします。
2022年8月15日、日本は77回目の終戦記念日を迎えます。今、世界中の人々が平和を祈願しています。2月24日ロシアのウクライナへの侵攻によって始まった戦争が今も続いているからです。ウクライナを始め世界各地で起きている戦争、紛争が一日も早く終結しますようお祈り致します。
1931年9月18日、日本軍の独走で満州事変が起こります。以来戦場をアジア、太平洋に拡大し、1945年8月15日太平洋戦争が終結するまで15年に及ぶ⻑い戦争を行い、多くの被害や犠牲を出しました。人々の日常生活と平和は失われ、自由、人権、信仰も制約されました。戦争犠牲者は中国、アジア、太平洋諸国を含めますと2,500万人を超えると言われます。戦後77年が過ぎても、戦争の悲しみや被害は続いています。
アジア・太平洋諸国の人々と日本住⺠に多大な犠牲と被害を与えた反省の上に、日本は人類の平和と世界との協和を願い、天皇中心だった明治憲法から、戦争を放棄した恒久平和、国⺠主権、基本的人権の尊重、⺠主主義などを掲げた日本国憲法を作成、平和な世界の実現を目指して来ました。
しかし、ウクライナとロシアとの戦争勃発、北朝鮮の繰り返されるミサイル発射、尖閣諸島周辺での中国船舶の領海侵犯、中国軍の軍備増強、台湾有事の懸念、北海道周辺でのロシアの軍事演習などを理由に、憲法を改憲し、9条への自衛隊明記、国防力強化のためにと防衛費をGDP(国⺠総生産)の2%への倍増などが話題になっています。
日本聖公会は1995年の宣教協議会以来、「わたしたちを平和の器にしてください」と祈ってきました。今問われていることは、平和への決断です。憲法を改憲し、防衛予算を増額して軍備を増強し、戦争に備えるのか、あるいは平和の創造のために、国際社会に訴え、軍備を縮小し、核を無くし、戦争が起こらない、起こさない努力をするのかです。
戦争になれば、先に被害を受けるのは女性、子ども、老人、貧しい人、心身に障害のある人、差別や偏見の目で見られている弱い立場の人たちです。イエスさまは私たちに「あなたがたに平和があるように」と「キリストの平和」を与えて下さいました。罪は外から心に入り、心を騒がし争いを起こします。「主の平和」は心の内から始まり、外へと働き平安にします。世界平和を祈り、平和の器として歩む決意を新たにしましょう。
「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。」(ヨハネ14:27)
主に在りて。