第7回「東日本大震災国際神学シンポジウム」に先立つ2月5日、同「青年の部」が、青山キリスト教学生会(ACF)、キリスト者学生会(KGK)、学生キリスト教友愛会(SCF)の3団体による共同企画で行われた。今年はオンラインでの開催となり、教派、教団を超えた約100人の青年が集まった。今回のテーマは「キリストさん――10年後の私たちは変わった?」。
それぞれの団体の青年3人によるパネルディスカッションの動画が公開され、1人は震災当時に比較的被害の少ない地域で暮らしていたものの、ひと括りに「被災者」として扱われることの罪悪感や苦悩を語った。また別の青年は、震災当初から地域の子どもたちとの関わり合いの支援活動を続け、それが今後の進路へとつながっていく経緯について語った。
2人の講師によるメッセージでは、まずジェフリー・メンセンディーク氏(桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授)が、震災当時の「弱さの経験」について語った。震災当時、東北地域の青年センターの代表を務めていた同氏は、被災者支援に関わる中でさまざまな軋轢が生じ、心身に異常をきたすようになった。教会で賛美歌を歌うことも、聖書の言葉を聞くこともできなくなるほどであったが、その時に「自分に代わって歌ってくれる人がいる、祈ってくれる人がいる」ということを感じ、パウロの言葉を引用して「弱い時にこそ強い」ということを実感した、と語った。そして、「私たちは弱さを通して神様を知り、弱さを通して神様を証しする」のだと青年たちに伝えた。
朝岡勝氏(東京基督教大学理事長)は震災直後に支援に向かい、凄惨な現場と過酷な生活をする人々と出会いながらも、自分はいつか帰る人間であるという「当事者性」こそが自分にとって最大の問題であったと語った。その中で、「善きサマリア人のたとえ」のように「出会ってしまった以上、立ち止まらざるを得ないことがあるのではないか」と述べ、「そこに後ろめたさなどの割り切れない気持ちも引き受けながら、生きざるを得ないのではないか」とも語った。また、このシンポジウムが10年続いたことに言及し、「ここで生まれたネットワークが、次に何か起きた時に必ず役に立つ。この交わりを開き続け、教派を超えた関係を構築してほしい」と伝えた。