牧師の学位を授与された24人の受刑者 刑務所で奉仕

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24人の受刑者が牧師の学位を取得し、ノースカロライナ州の刑務所で牧師として奉仕することになった。教育を通して受刑囚を更生させる動きが、全米、同州でも静かに根付き始めている。「レリジョン・ニュース・サービス」が報じた。

黒い帽子とガウンをまとった24人の男性が先週、ナッシュ矯正所の体育館の演壇を闊歩し、牧師の学士号を取得した。彼らはサザンバプテスト神学校のサウスイースタン・カレッジのダニー・エイキン学長=写真=と握手し、写真撮影のためポーズをとった。

仮釈放の可能性がなく一生を刑務所で過ごすことになる彼らの約半数にとって、ローリーから東に約80キロ離れた同刑務所のステージでの行進は、獄中生活における最頂点の出来事となった。

彼らは認可された学校から4年の学位を取るために、受刑囚初となるクラスで、ヘブル語、ギリシャ語、神学、カウンセリング、思想史などを学ぶことに多くの時間を費やしてきた。24人の受刑者全員が優秀な成績で卒業し、うち3人は成績平均点が4.0と完璧だった。彼らは今後、州内の55の刑務所に分散して、他の受刑者のために奉仕しながら残りの刑期を過ごすことになる。

エイキン学長は卒業式のスピーチで、「私が司式を務めた卒業生をこれほど誇りに思ったことはない」と述べ、彼らの卒業証書に自分の名前が刻まれたことを「言葉にできないほど光栄に思っている」と語った。

ノースカロライナ州の刑務所では、約3万人の受刑者を対象にした対面式の学士課程はこれまでなく、この卒業式が初めてのケースとなる。しかし、この学位プログラムは、教育を通じて囚人を更生させようとする福音派の神学校や大学の新しい動きの一部である。

このような取り組みを支援するキリスト教系非営利団体「プリズン・セミナリー・ファンデーション」によると、全米の刑務所で23の学位プログラムを提供している福音派の学校は、少なくとも17校あるという。そのほとんどは、神学校の教授が、刑期の8年以上残っている受刑者を対象に、対面またはオンラインで教えている。

「社会正義」を聖書と矛盾するポストモダンの思想になぞらえる保守的な福音派もいる中で、教育を通じた刑務所改革の推進は静かに根付いている。

「これは、刑務所の中等後高等教育のひな型になる可能性が高い」と、同州公安局刑務所教育担当のジュリー・ジェイルール氏は言う。「刑務所の教育プログラムのあるべき姿の期待に応えている」と語った。ジェイルール氏は、プログラムの修了率が80%であることは、特に良い結果であると指摘。初回のクラスは30人で、3人が脱落し、他の3人は来年のクラスで卒業する予定だ。もし、彼らが卒業すれば、修了率は90%になる。

彼らは他の受刑者に説教をしたり、改宗させたりすることはない。刑務所では、ある信仰を他の信仰に優劣をつけることはできないのだ、とジェイルール氏は言う。しかし、彼らは受刑者の相談に乗り、指導し、自らを向上させる機会を探すよう奨励することが期待されている。また、国立矯正研究所が開発した認知行動学的カリキュラムである「変化を考える」と呼ばれるクラスを共同で指導する者もいる。この取り組みは、より穏やかな刑務所環境を作り、暴力を減らすことを目的としている。受刑者たちは、その努力に対して1日1ドルの報酬を得ることができる。

32歳で優秀な成績で卒業したキルストン・マーシャル・アンゲル受刑者は、州西部の最大警備刑務所で、刑務所での生活に初めて慣れる18歳から25歳の新受刑者と共に働くことを「有頂天で」喜んでいると語った。第二級殺人の罪で40年の刑に服しているアンゲルは、「私は自分自身を成長させた」と語った。「自分を捨て、他人を思いやることを学んだ。それがこのプログラムの使命なのだ」

アンゲルとクラスメートの教育費は、元NFLフットボールコーチで現オートレースチームオーナーのジョー・ギブス氏が設立したキリスト教団体「ゲームプラン・フォー・ライフ」からの助成金で賄われており、この学位プログラムの開始にあたっては、サウスイースタン大学と提携した。

刑務所のプログラムを運営するために、サウスイースタン大学は年間50万ドルの費用を負担している。刑務所プログラムの責任者で、サウスイースタン大学の倫理学と思想史の助教授であるセス・バイブル氏は、「大学は、サンシャイン・レディー財団とノースカロライナ州バプテスト連盟からも補助金を確保している」と述べた。

「私は初日に、『4年制大学の学位を取得する機会があると思わなかった人は何人いますか?』と尋ねる」とバイブル氏。「4年連続で必ず、クラスの9割の人が手を挙げる。親の影響が強くなかったり、ドラッグやギャングの影響を受け、誰も信じられなかったり、自分を信じてもらえなかったりすると言うのだ」

このような機会は、受刑者に新しい視点を与えることができると彼は言う。「神の目から見ても、自分の目から見ても、彼らには価値があるのだと伝え始める瞬間。そして、私があなたに価値があると思うだけでなく、このプログラムを支援している人たちもあなたには価値があると思っているのだと伝えること、それ自体が変革につながるのだ」

2023年6月には、多くの連邦・州刑務所の受刑者が大学教育のためのペル・グラントの受給資格を得ることになり、刑務所教育は大きな後押しを受けることになると予想されている。2020年、議会は1994年以来続いていた囚人への連邦財政援助を解禁した。

ノースカロライナ州の10校は最近、刑務所教育共同体を結成し、刑務所での学位プログラムの数と種類を増やす方法について考え始めている。キャンベル大学では、2023年にコミュニケーション学の学士号または理学士号(副専攻は中毒障害)を取得して二十数名の受刑者を卒業させる予定だ。

しかし、今のところ、特に福音派が支配的な米国南部では、福音派のプログラムが最も多くなっている。サウスイースタン大学は最近、ローリーの女性刑務所で同様のプログラムを開始した。「プリズン・セミナリー・ファンデーション」の運営責任者であるデニー・オートレイ氏は、「これは全米を席巻している。刑務所内の犯罪の流れを変え、出所した犯罪者が再び戻ってこないよう手助けする方法を模索する刑務所長や責任者が増えている。これは、心と体に影響を与える教育プログラムなのだ」と話す。

こうした教育プログラムの中には、人種間の格差や、司法制度が貧しい人々や精神病患者、依存症患者を不当に罰しているというような、カーセラル・ステート(懲罰的様相)に関連する問題を扱うものはほとんどない。米国は世界で最も収容率の高い国である。

そのプログラムの一つが、修復的司法ミニストリーの修士号を提供するノースパーク神学大学院の「スクール・オブ・リストラティブ・アーツ」である。このプログラムは、イリノイ州の二つの刑務所(男性用と女性用)で実施され、紛争緩和、人種関係、トラウマ、癒やし、修復的正義に関するクラスが含まれている。また、教員は学生の釈放と一般的な刑務所廃止を提唱している。

プログラムのディレクターであり、ノースパークの神学校の学部長であるミシェル・クリフトン=ソダーストラム氏は、「多くのプログラムは、刑務所内で宣教師になるように人々を訓練しているが、彼らの自由のために擁護することはない」と述べる。「私たちはそのような考え方はしていない。暴力や大量監禁に対処するためのより良い方法があることを認識している」

ノースカロライナ州での卒業式では、卒業生とその家族のためのケータリングランチが行われ、サウスイースタン大学のリーダーたちは、卒業式でのジョー・ギブス氏やダニー・エイキン氏の言葉を借りれば、卒業生に「キリストの大使」になってほしいということを明確にした。エイキン氏は、サウスイースタン大学が信仰を広めることを中核的な目的とする神学校であることを改めて強調した。

「あなた方は、イエス・キリストの福音の人生を変える光を、価値のある人たち、キリストが死なれた人たちに届けることができる」

仮釈放なしの終身刑で服役中の43歳の受刑者、ロレン・ハモンズ氏は、まさにそのことを望んでいると語った。卒業式の直後、母親の手を握って両親と一緒に座っていたハモンズ氏は、シャーロットから40マイル離れた刑務所のホスピスケア病棟に送られ、独房棟で最後の日々を過ごす末期患者の男性に慰めと寄り添いを提供することになる、と話した。「彼らに希望を与え、福音に招きたい」

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