Q.最近、外国籍の教会員が増えてきました。なかには日本語が話せない方もおられます。何か必要な備えがあれば教えてください。(30代・牧師)
たしかに、ここ数年海外から来られて教会の礼拝に出席するケースが多くなりました。山峡にある私たちの教会にも、外国の方が時々礼拝に出席されることがあります。統計によれば今200万人以上(*連載当時)の外国人が日本に在留しているそうですが、そのなかにはキリスト教の信仰を持っている人も大勢いますし、また信仰を求めて教会に来る方もあるでしょう。
「教会に来る外国籍の方にどのように対応すればよいか」とのことですが、まず生じる問題は「言葉の壁」かと思います。なかには日本語をかなり話す方もありますが、日本語が十分に分からない方が多いのも事実です。そのため、礼拝では英語や韓国語などの同時通訳を行っている教会や英語の週報を用意しているところもあります。また、数カ国語の聖書や賛美歌を備えている教会もあります。しかし、すべての教会が同じような対応をすることは難しいことです。
たしかに言葉が壁になることはありますが、大切なことは「主にある兄弟姉妹」として受け入れることではないでしょうか。言葉が十分に通じなくても、同じ主を信じる者として受け入れあうことができれば、信仰は一つであることを感じることができるはずです。それに外国人が無理に日本語で一緒に礼拝を守る必要もありません。礼拝の中でそれぞれの国の言葉で祈りや賛美がなされることは、むしろ素晴らしいことではないでしょうか。
もう一つ、「お客様」扱いをしないで教会の一員として迎え、できるだけ教会の働きに参加してもらうことも大切です。礼拝や集会などで彼らの信仰の証しを聞く機会を持てば、さらに深い交わりが生まれ、教会自体の信仰の成長を得ることができるでしょう。
今日本に住む外国人、特に移住者の方々は生活上の問題、仕事や医療や子どもたちの教育の問題などで苦しんでいます。それに対してどのように対応すればよいのか、教会にとっての大きな課題です。『移住者と共に生きる教会』(女子パウロ会発行)が、そのよい手引きとなるでしょう。
かんばやし・じゅんいちろう 1940年、大阪生まれ。同志社大学神学部卒業。日本基督教団早稲田教会、浪花教会、吾妻教会、松山教会、江古田教会の牧師を歴任。著書に『なろうとして、なれない時』(現代社会思想社)、『引き算で生きてみませんか』(YMCA出版)、『人生いつも迷い道』(コイノニア社)、『なみだ流したその後で』(キリスト新聞社)、共著に『心に残るE話』(日本キリスト教団出版局)、『教会では聞けない「21世紀」信仰問答』(キリスト新聞社)など。