NPO法人「抱樸」 1億円のクラウドファンディング達成 コロナ禍の住宅支援に1万人 2020年8月1日

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 北九州で30年以上にわたりホームレス支援に取り組んできたNPO法人「抱樸」(奥田知志理事長)が、新型コロナウイルスによる影響で経済的に困窮する人々、今助けを必要としている人々への緊急支援に加え、支援付き住宅を全国で提供する事業のために、1億円を目標とするクラウドファンディングに支援を呼び掛けて3カ月(本紙5月11日付で既報)。

 7月27日の締め切りを待たずに目標額を達成し、最終的な寄付総額は1億1456万1千円、計1万人以上が参加する結果になった。今回、パートナーとしてプロジェクトに協力した一般財団法人村上財団による「マッチング寄付」3千万円がさらに加算されることになる。NPOが単独で1億円のクラウドファンディングを成功させるのは極めて稀だという。

〝まだ捨てたものじゃない〟
「救われた」「癒やされた」寄付者が見出した希望

 奥田氏は「抱樸」YouTubeチャンネルからの配信のほか、報道・映像制作関係者が有志で立ち上げた「Choose Life Project」による番組「あんたもわしもおんなじいのち。『助けて』と言える社会を実現するために、いまできること」にも抱樸スタッフやアフターケア相談所「ゆずりは」所長の高橋亜美氏と共に出演。司会を務めた芸人の「せやろがいおじさん」こと榎森耕助氏は収録後、「支援を求める人の多くは『助けて』の前に『ごめんなさい』と言うらしい。自己責任という言葉で口を塞がれ、助けを求められず『孤立』していく。そんな構造に『温かさ』で対峙し続けてきた方々のお話にシビれっぱなしだった」と感想を寄せた。

 また、参議院議員である小池晃氏(日本共産党)のチャンネル「YouTuber小池晃になんでも聞いてみよう」にもゲストとして招かれ、コロナ後の社会的課題について解説した。

 締め切り2日前の25日時点で、寄付総額は7600万円、寄付者は6千人に留まっていたが、最終日を前に支援者が急増し、前日夜の配信中に目標額を達成。抱樸専務理事の森松長生(ながお)氏(東八幡キリスト教会協働牧師)も「正直、達成できるとは思っていなかった」と本音を漏らした。

 締め切りを迎えた最終日には、4月の記者会見と同じライヴストリーミングスタジオ「DOMMUNE(ドミューン)」から「『路上20’夏』家を失わない仕組みを全国に」と題して5時間にわたり、高橋源一郎氏(文学者)との対談のほか、寺尾紗穂氏、高田漣氏などのミュージシャンをゲストに迎えたライブイベントを配信した。

 奥田氏は番組中、寄付者への感謝と共に「今死にたいと思う方もいる。『死んではだめ』と簡単には言えないが、私自身の責任で言えることがある。それは、あなたに死んでほしくないということ。少なくとも(寄付してくれた)1万人がそう思っている」と視聴者に向けてメッセージを語った。

 抱樸副理事長の谷本仰氏(日本バプテスト連盟南小倉バプテスト教会牧師)は、同教会(北九州市小倉北区)の軒先で始めた「どうぞのつくえ」(絵本『どうぞのいす』から後日命名)に寄せられたカンパを元に教会としても寄付に参加。抱樸チャンネルにも出演し、30年以上におよぶ抱樸の歩みについて奥田氏、森松氏と共に振り返った。

 クラウドファンディング「レディーフォー」のサイトには、寄付者からの応援コメントが多数寄せられた。その一部を紹介する。


 「目標額が達成されたことに、まだ日本も捨てたものじゃないと驚きとうれしさにあふれます。収入の少ないわが家なので、少しだけですが賛同できることをうれしく思います」

 「聖書にあるように、パンを水の上に投げる思いで、寄付させてもらいます。あそこに行けば、仲間たちに会える、あそこに行けば、困った時に泊めてもらえるんだと思いながら、安心して生活していきたいです」

 「私も4月末でコロナの影響で派遣の仕事を雇い止めになりました。正社員は給与を得て自宅待機、派遣社員だけが解雇になり、本当に悲しかったです。頼れる家族がいない場合、本当にたいへんだと思います。一人でも多くの方に、助けを必要としている方々に支援が届きますように」

 「コロナ対策に私たちの支払った税金がしっかり使われていないことに怒りを感じています。そんな中、出来ることをやっていらっしゃるみなさんのことを知り感動しました。少しでもお役に立てたらと思います。この活動のことがマスコミで大きく取り上げられ、国民や政府が動きますように。香港やアメリカのようにみんなで立ち上がりたい」

 「どうして血のつながりもない、友人でもない、『赤の他人』のために身を粉にしてこんなに頑張れるのかなって、そういう人を見ながらいつも不思議でなりませんでした。でも、自分が突然生計の大部分を立てていた仕事を失い、自分一人でなんとかしなければならなかった心細さを経験した時、頼れるところがあることの幸せとそのありがたさを身に染みて知りました」

 「最近『自己責任』という言葉を目にしたり、コロナへの政府の対応に憤りを感じたり、悲しくつらい気持ちになっていましたが、このプロジェクトが1億円を達成したのを見て、すごく救われました」

 「毎週、奥田さんの対談を楽しみに視聴させていただきました。さまざまな視座からの捉え方や考え方を知り、心が癒やされました」

 「◯十年前の、高校時代、奥田牧師がチャペルの時間にお話しに来てくださいました。その頃から困窮された街の人に寄り添い歩みを続けられ、培った支援のノウハウが今回のプロジェクトに活かされていることを感じました」

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