8月3日 イザヤ書45章1節

 主が油を注がれた人キュロスについて、主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り、国々を従わせ、王たちの武装を解かせる。
イザヤ書45章1節(参考箇所同書44章24〜45章13節)

キュロスはペルシア帝国を起こした王でキュロス二世(前559〜530年)のことです。彼はバビロニアを滅ぼし(前539年)、捕囚となっていたイスラエルの民を解放しエルサレムの神殿建設を助けた人物で、異国の王でありながら、神の特別な器とされ、「わたしの牧者、わたしの望みを成就させる者」(44章28節)とさえ言われたのです。

イザヤはこのキュロスを「油を注がれた人」と言います。この称号がメシアを意味することを知る者には驚くべきことです。それほどまでにイスラエルの民に迎え入れられたキュロスが異邦人であって、信仰もまた異にする人物であることは注目すべきことです。イザヤは、主の言葉として「わたしは彼の右の手を固く取り」と言い、異邦人の王が神に用いられるさまを強調しています。

イザヤの時代、神が異邦人の王を解放者として立てられたことに人々の中から疑問が持ち上がっていたにちがいありません。イザヤはそれに答えて、神はたとえ異邦人であっても御心のままに用いられると言っているのです。神はご自身の意志を貫徹するためには、すべて用いてくださいます。神の判断は人の判断をはるかに上回るものです。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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