5月23日 ヨシュア記6章20節

 角笛が鳴り渡ると、民は鬨の声をあげた。民が角笛の音を聞いて、一斉に鬨の声をあげると、城壁が崩れ落ち、民はそれぞれ、その場から町に突入し、この町を占領した。
ヨシュア記6章20節(参考箇所同書6章1〜27節)

ヨシュアに導かれた民は、カナンの地に入り、最初の町エリコを戦い取らねばなりませんでした。彼らが町の回りを七周し、角笛を吹き、鬨(とき)の声を上げると町の城壁が崩れ落ち、中に入った兵たちは、町中の人間や牛、羊、ろばに至るまで殺戮(さつりく)したと伝えられています。この出来事はなんとも説明に苦しむところです。彼らはモーセの十戒によれば、殺すことなく、むさぼることも禁じられていたはずです。エリコの悲惨をどのように正当化できるでしょうか。あらためて人間の犯す罪を思い起こさせます。

聖書は人間の罪の現実を余すことなく白日の下に曝(さら)すという点では、ごまかしたり、あいまいにすることはないのです。聖書にはロトの娘たち(創世記19章33節)、ユダとタマル(創世記38章15節)、ダビデの罪(サムエル下11章4節)など眉をひそめるような話は枚挙にいとまがないほどです。聖書はこれら人間の罪を赤裸々に書き記して神の前に置くのです。人は罪を犯すこととそれに責任があることを表明しているのです。

エリコの戦いもまた、人間の罪のさまをあますことなく書き記したものです。聖書はそれを神の前に置いて、人は罪を犯すことを直視しているのです。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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