来日女性宣教師が内面を綴った貴重な資料
〈評者〉小檜山ルイ
本書は、一八七三(明治六)年に独身女性宣教師としてアメリカの長老派の婦人伝道局から日本に派遣され、五〇年以上日本で働いたメアリ・パーク(一八四一─一九二七、一八七四年、タムソン夫人となる)が残した日記のうち、一八七二年から一八七八年の部分を翻訳したものである。日記の原本はフィラデルフィアの長老派歴史協会が所蔵し、今回翻訳された部分は、同協会のホームページ上で活字化され、連載された部分に当たる。
本書は、新栄教会の創立一五〇周年の事業として実現した。同教会一四〇周年には、『タムソン書簡集』(教文館、二〇二二年)が翻訳出版されており、夫人の日記でこれを補うことで、注に詳しくあるように、新栄教会の黎明期の細部が判明する。新栄教会がこの日記の出版に情熱を持たれたことは十分理解できる。
そうした特別な関心を持たない読者にとって、タムソン夫人の日記の記述は、淡々とし、面白みが少ないかもしれない。その理由は、本日記が一九世紀の信仰者の「内省の記録」という性格を有しているためだと考えられる。
メアリー・タムソン著/中島耕二編/阿曽安治訳 タムソン宣教師夫人メアリーの日記(小檜山ルイ)の続きを「本のひろば」で見る