窪寺俊之著 金子みすゞの苦悩とスピリチュアリティ(河原清志)【本のひろば.com】

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評者: 河原清志

金子みすゞの魅力と闇に再考を迫る名著
〈評者〉河原清志


金子みすゞの苦悩とスピリチュアリティ
自死をめぐる考察

窪寺俊之著
A5判・228頁・4400円・関西学院大学出版会
教文館AmazonBIBLE HOUSE書店一覧 本書の著者はスピリチュアルケアの第一人者にして牧師、元関西学院大学教授で兵庫大学大学院の現役の教授でもある窪寺俊之である。御年83歳にして、我々後進の者に心温かく常に光を照らしている、多くの方々から尊敬され愛されているお人である。教会で説教をするとクリスチャンに限らず多くの人が感動し、心を癒され、時として心を打たれるあまり涙を流す。そして穏やかな気持ちになって明日からの希望を与えられる。決して上から目線でものを言わず、一人一人の心に寄り添うように等身大の姿で話しかける。さらには、スピリチュアルケアの研究論文や著書も多数出しており研究者からの信頼も篤い、卓越した宗教家であり学者でありケア者であるのがこの著者の素の姿である。
窪寺はなぜ金子みすゞに25年間も魅了されたのか。窪寺は言う。「彼女の魅力の一つは、弱い者への暖かな眼差しや共感の深さである。彼女の詩に現れた優しさに何度も癒されてきた。心が動揺し悩み葛藤した時、彼女の詩は静かに心に寄り添って癒してくれる。何度もありがたいと思った。しかし私の心に消えない疑問があった。なぜ彼女は自死したのか、なぜ自死しなくてはならなかったのか。その疑問が私の心につきまとった。」これがみすゞ研究の動機である。

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