【日本YWCA】 Keep hope alive! 私の出会ったパレスチナ 宮崎 祐

多くの犠牲者を出した空爆から半年が過ぎたパレスチナ。日本では遠い国の過去のニュースと思われがちだが、現地では何も終わってはいない。このクリスマスに、改めてパレスチナに出会い、思いを馳せてみよう。

ホームステイ先の子どもたちはとても気さくですぐに親しくなった(中央が宮崎さん)

「占領は犯罪です」

2021年4月から5月にかけて、イスラエルによるパレスチナ住民への攻撃が東エルサレムとガザで相次いで起こり、日本のテレビでも連日映像が流れた。日本YWCAがこの攻撃への非難声明を出し賛同を募ると、6000筆以上のオンライン署名が集まった。賛同者への現況報告として、パレスチナと日本をつなぐ対話イベントがオンラインで開かれ、パレスチナYWCAのコーディネートで、現地の若い女性たちのリアルな声を聴くことができた。

東エルサレムでは、3世代に渡り住み続けた土地から不当に立ち退きを迫られ、執拗な嫌がらせを受けて孤立する世帯がある。「占領は犯罪です」との言葉がストレートに入ってきた。また、ガザからは、攻撃を受けることはないと信じていた赤十字の病院が空爆され、自らも家を破壊された恐怖の声を聞いた。共にパレスチナ人である登壇者と司会者が同郷出身と分かり、温かい空気が流れる一幕もあった。パレスチナの人は誰もが何らかの形で今も、73年前の「ナクバ(大災厄)」を生き続けているのだと身近に感じさせられた。

「あなたたちのサポートがあるから」

2007年、パレスチナを訪問した時、子どもから「私たちの夢は『自由』ですが、日本の子どもたちの夢はなんですか?」と聞かれたことがある。訪れるたびに状況は悪化していると感じるが、パレスチナの人々はいつも笑顔でたくましい。パレスチナYWCAでは今回のガザ攻撃の後、他団体と協働して子どもたちの心のケアプログラムを企画し、外部にも支援を呼びかけた。これまでも若い女性のための国際会議、「オリーブの木キャンペーン」など、世界に向け発信を続けてきた。日本にいてパレスチナのことを思うと、解決が見えず心ふさぐ思いをする。ところが現地に行くと、人々の温かさに逆にこちらが元気をもらうこととなる。なぜそんなに強くいられるのかと尋ねると、思いがけず「あなた達のサポートがあるから」という言葉が返ってきた。

「私たちにとって平和は、光」

今回、署名や対話イベント、またガザの子どもプログラムのクラウドファンディングなどを通して、大勢の人々がパレスチナに関わった。現地に行くことは難しくても、オンラインで声を聞くチャンスが与えられた。これからもまず知ること、知ったことを周りに伝えること、パレスチナYWCAのSNSを開いてみる、「オリーブの木キャンペーン」に参加することもできる。

かつてパレスチナYWCAの総幹事は「私たちにとって平和は、光」と言った。平和はゴールではなく、よりよいものを探していくベースなのだと思った。「どのような状況にあっても希望を絶やさない」ことを教えてくれるパレスチナの友に心強められつつ、こちらからも思いを返していきたい。

宮崎祐(大阪YWCA会員)


パレスチナの地にオリーブの木を贈ろう!

パレスチナでは「生命の木」とも呼ばれるオリーブの木は、人々にとって生活の糧であり、平和の象徴。貧しい土壌でも実をつけ、800年から1000年も生き続けるといいます。先祖代々の土地で大切に育てられたこの生命の木が、イスラエルの入植者や軍によって破壊され続けています。失われた木は100万本以上とも。日本YWCAは、パレスチナの地に失われた木を植える「オリーブの木キャンペーン」(パレスチナYWCAと東エルサレムYMCAの共同事業)を応援しています。クリスマスにパレスチナの平和を願って苗木を贈ってみませんか。

詳細はこちらから
https://www.ywca.or.jp/whatwedo/palestina/olive.html

出典:公益財団法人日本YWCA機関紙『YWCA』12月号より転載


YWCAは、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。

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