聖書で唯一「かわいい」と記されている男【聖書からよもやま話31】

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。今日も日刊キリスト新聞クリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章から心に浮かんだ事柄を、皆様の役に立つ立たないは気にせずに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、出エジプト記の2章です。それではよろしくどうぞ。


◆出エジプト記 2章2節

彼女は身ごもって男の子を産み、その子がかわいいのを見て、三ヶ月間その子を隠しておいた。


出エジプト記はイスラエルの民がモーセを指導者としてエジプトの地を脱した時の記録ですが、この2章ではそのモーセの生い立ちが、その出生から描かれています。着目すべき点はそこにはいくらでもあるのですが、今回はおそらく他のどの聖書解説でもなかなか着目しないであろう単語に着目しようと思います。

「かわいい」

赤ちゃんや小さな子に対して、非常に頻繁に用いられる形容詞ですが、実は聖書には(新改訳)ではこの「かわいい」という単語は3回しか出てきません。非常にレアなのです。しかもですね、では3人の人物が聖書の中で「かわいい」と言われているのかというとそうではなく、なんと実はその3回とも、モーセに対して用いられているんです。つまりモーセは聖書の中で唯一の「かわいい」人だということになります。聖書にはいわゆるイケメンな人物はたくさん登場しますが、その誰も「かわいい」とは言われていません。しかしモーセだけは「かわいい」と言われているのです。どんだけかわいかったんだ、モーセさん。

ただ、残念ながら大人になった後のモーセさんの容姿については、特にイケメンだとは書いてありません。子役の頃に大活躍してもなかなか大人になってまでも活躍できるのは一握り・・・みたいな話なのかもしれません。

モーセが生まれた時、エジプトのファラオが「イスラエル人に生まれた男の子はみんなナイル川に投げ込んでしまえ!」という命令を出していたので、本当はモーセもナイルに投げ込まれてしまうはずでした。しかしかわいかったので、母親は投げ込むことができず川岸の葦の茂みにかくし、そしてかわいかったのでそれをファラオの娘が拾って育てました。まさに「かわいいは正義!」みたいな話です。

・・・って、いやいや、親たるもの、みんな自分の子を川に投げ込むなんてできませんよね。ですからきっと同じようなケースは当時のエジプトに他にも起こっていたのじゃないかとも思います。しかしとはいえ、ファラオの娘、すなわち王女様に拾われたモーセはラッキーだったと思いますけど。

僕も我ながら赤ちゃんの頃は可愛かった・・・

それではまた。
主にありて。MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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