東京基督教大学が春季卒業礼拝 39人が新たな献身の場に

 

東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)は8日、2018年度春期卒業礼拝を行った。今年、卒業・修了したのは、神学部26人、大学院博士前期課程10人、教会音楽専攻科3人の合計39人。

卒業証書を手渡される卒業生=8日、東京基督教大学(千葉県印西市)で

教職員や父兄、在校生、約400人が見守る中、テレマンの英雄的行進曲第3番「勇気」をBGMに卒業生が入場した。華やかな振袖(ふりそで)や袴(はかま)姿に混じってチマチョゴリを着た卒業生もおり、国際色豊かな卒業式となった。

讃美歌85番「主の真理(まこと)は」を全員で歌った後、中澤秀一教授の祈祷、聖書朗読に続き、学園クワイアが学園歌「みどりの風」を合唱。

その後、山口陽一学長が次の聖句から「良心」という題でメッセージを語った。「私はいつも、神の前にも人の前にも責められることのない良心を保つように、と最善を尽くしています」(使徒24:16、新改訳)

山口陽一学長

「これは、パウロがローマ総督を前にして述べた言葉です。

良心はギリシア語で『シュネイデーシス』といい、『共に知ること』という意味です。私たちが自分の心の声を聞くとき、重要なのは、神と共に問いかけることです。そうすれば、神が弱った良心を強め、隣人を愛せるようにしてくださいます。隣人を愛するとは、その人を知ることです。そこに良心があります。

ただ、この良心はすぐに鈍ってしまいます。宗教改革では、聖書に立ち返り、神の言葉を聞くことによって良心が回復されました。

ルターは国会に呼び出されたとき、こう言っています。『私の良心は神の言葉にとらえられています。教皇も公会議もしばしば誤ってきたし、互いに矛盾していることは明白です。良心に反したことをするのは、確実なことでも得策なことでもありません』。私たちが信頼するのは神の言葉であり、人間の良心は神の言葉によって良いものとなります。

これからも十字架による良心教育を継承し、福音を語れる信徒献身者を送り出していきたい。どうか皆さんも、神から授かった自らの良心をしっかり持って、それぞれの場所で献身者として歩んでください」

金道均さん

証書・学位記授与の後、卒業生・修了生を代表して、修士課程2年生の金道均(キム・ドギュン)さんが挨拶(あいさつ)に立った。

「先生方の愛のこもった指導。職員・スタッフの方たちによる学生生活すべてにわたるサポート。シルバーの人によって整えられた環境。仲間たちの交わりと励ましの言葉。さらに、教会の兄弟姉妹の祈りや支援。その一つ一つが、主の愛と恵みへと私を導いてくれ、自分の中にあるギャップを埋める勇気を持つことができました。

TCUで学んだ日々の中で、教会の人だけでなく、自分も正しく愛せていないこと、主の言葉が行き届いていないことを思い知らされ、絶望感にさいなまれたこともあります。しかし、多くの人の支えを経験することで、自分ではなく、主に希望を置くようになりました。絶望は私にとって卒業試験だったのかもしれません。その試験をパスして卒業を迎え、主の働き人となれたことを感謝します」

三浦真信牧師

続いて、単立・久遠(くおん)キリスト教会の三浦真信(みうら・まさのぶ)牧師が卒業生・修了生に祝辞を送った。

「大切なことが3つあります。まず、人への理解を深めること。上から目線ではなく、この人からも、あの人からも私は教えてもらっているという思いで、人への理解を深めてほしい。

次に、人に助けを求めること。素人判断をせずに、カウンセラーや医師、警察、弁護士に頼り、特にメンタル面で相談できる人を持ってください。

さらに3つ目として、世界大で神の働きを見続けてほしい。私自身、自分の教会だけを見ていると、気が滅入ったり、心が折れそうになったりします。そんな時、神様が今なさっている福音の広がりを世界大に見ると、『神様に信頼していこう』と思い直して方向を変えたりできます。皆さんも、遣わされた場所で閉塞感を覚える時があるかもしれません。そんな時こそ、世界規模の神の働きを見て、その中に一人ひとりも置かれていることを感じてみてください」

広瀬薫理事長

式の最後には広瀬薫理事長が登壇し、漫画「ワンピース」から、裏切った仲間を受け入れる場面を引用しながら次のように話した。

「私たちはTCUの中で仲間になりました。それは卒業してもずっと変わりません。たとえ誰かがTCUを裏切っても、TCUを傷つけたとしても、TCUは皆さんを愛し続けます。私たちは愛によって生ける伝説をつくろうではありませんか。若い皆さんに時代をバトンタッチします。TCUの意思を継ぐ者なら、この時代の先を教会と社会に見せてください」

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