最新の文化庁編『宗教年鑑』(令和元〔2019〕年版)によると(80~85頁)、カトリックや改革派など、少し増えているところもあるが、全体的に減少傾向にあり、特にプロテスタント主流派の落ち込みが激しい(以下数字は、2018年12月31日現在)。特に教派の順位に変動はなかった。
信者数は95万3461人。これまでの推移を見ると、95万9640人(18年)、96万253人(17年)、96万8066人(16年)と、4年間で1万4605人(約2%)減っている。
教会の総数は5820。しかしこちらは、5818(18年)、5763(17年)、5743(16年)と、信徒が減っているのに教会数は77も増えている。
日本の総人口1億2602万人(20年1月1日現在、総務省統計局の概算値)のうち、クリスチャンは0・76%となる。
『宗教年鑑』では、文部科学大臣所轄包括宗教法人として登録されている教会のみを扱っている。また、各宗教法人による「報告」に基づいてまとめられているため、正確な実数とは言えず、礼拝やミサに毎週集うクリスチャンになると、実際にはもっと少ないと考えられる。
「異端」とされるモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)なども、包括宗教団体のために入っている。ちなみにモルモン教は信者数12万7536人(前年12万7166人で、370人増えている)。教会数261(前年同)。
各教派の信徒数ランキングを20位まで見ていく。
キリスト教は大きくカトリックと正教会、プロテスタントがあり、プロテスタントはさらにさまざまな教派に分かれている。
1位はカトリックで、44万893人(クリスチャンのうち約46%。以下、1%未満は計算しない)。2009年の45万2136人をピークに減少傾向にあるが、前年の44万832人(18年)より61人増加した。1986年版では39万359人なので、この34年間で5万534人(13%)増えている。教会数は777で、前年の778(18年)から一つ減っている。
カトリックは世界最大のキリスト教の教派で、全世界に約13億人の信者がいる(世界総人口の約18%)。プロテスタントは日本独自の組織を持ち、礼拝などのあり方もさまざまだが、カトリックは世界組織で、ミサのあり方も世界共通だ。
2位は日本基督教団で、11万1090人(クリスチャンのうち約12%)。11万5502人(18年)、11万7773人(17年)、11万9223(16年)と、4年で8133人(約7%)も減少し、前年からは4412人(約4%)減った。1986年版では13万9247人なので、34年間で2万8157人(20%)も減っている。教会数は1514で、前年の1519(18年)から5つ減っている。
日本基督教団は、戦時中にプロテスタント諸教派が合同されてできた。そのため戦後、ルーテルやバプテストなど、教派的伝統を重んじて独立した教派も多くあったが、今なお日本最大のプロテスタントの教団だ。そのため、特色の違う長老改革系と組合系の教会などが混在する。
プロテスタントは16世紀、ルターやカルヴァンらが進めた宗教改革によってカトリックから分かれ、以後、ルター派、改革派、メソジスト、バプテストなど、その聖書解釈や信仰告白、強調点の違いなどで分裂した。
主流派は日本キリスト教協議会(NCC)、福音派は日本福音同盟(JEA)に加盟している教団・教派とすると、日本基督教団は主流派。
3位は日本聖公会で、4万7886人(クリスチャンのうち約5%)。4万8449人(18年)、4万9228人(17年)、5万512(16年)と、4年間で2626人(約5%)も減少し続け、前年から563人減っている。1999年の5万8382人をピークに1万496人(約18%)も減っている。教会数は281で、前年まで279だったが、二つ増えた。
日本聖公会は、プロテスタントの中でもカトリックに最も近い英国国教会の流れにある米国聖公会などの宣教師により1887年に創設された。主流派。(②に続く)