平良愛香監修 LGBTとキリスト教 20人のストーリー(新免貢)【本のひろば.com】

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評者: 新免貢

「沈黙の共謀」に対する多種多様なLGBT証言集
〈評者〉新免 貢


LGBTとキリスト教 20人のストーリー
平良愛香監修
四六判・240頁・定価2200円・日本キリスト教団出版局
教文館AmazonBIBLE HOUSE書店一覧 本書は、近代のあらゆるシステムに巧妙に刷り込まれた「男と女」の二分法の限界に気づかせ、現代に適合した豊かな人間理解へと導く感動的な良書である。聞きなれないセクシュアリティ関連用語や若干のキリスト教用語の読み物的解説、絵本・漫画を含む関連図書や映画の紹介、並びに、フェイスブック上の性別表記や支援団体に関するミニコミ紙風のコラムには有益な情報が満載である。各執筆者の記事に付された監修者メッセージは、痒い所へ手が届く温かさが感じられる。
本書を読むうちに、世界を熱狂の渦に巻き込んだレディ・ガガのヒット曲『ボーン・ディス・ウェイ』(二〇一一年)を聴いているかのような気にさせられる。「アタシはアタシ」「あるがままに」というメッセージが強い残響音として残る。心に深い痛手を負わされた当事者の差別体験とカムアウト時の緊張は表現しえないものがあるに違いない。傷つけられずにいる自分自身の日常と、好奇の的にされ、蔑視にさらされている当事者たちの日常との間には長くて深い溝が横たわっている。しかし本書では、その溝の中から、社会のありとあらゆる所に人間として存在するLGBTを「あの人たち」ではなく、「私たち」と呼べるようになるまでの共感の道筋を訴える声が聞こえてくるのである。
神はLGBTを排除しないという健全な創造信仰が本書全体を貫いている。しかし、一部の証言者は抑え気味に述べているが、世界宗教たるキリスト教は、「聖書ではそう述べている」という言い方でLGBT当事者たちを苦しめてきたことの責任は問われるべきである。一九七八年に暗殺されたゲイ人権活動家でサンフランシスコ市会議員のハーヴェイ・ミルクは、聖書の言葉の意味がねじ曲げられていることに対して宗教指導者たちが音なしのかまえでいることを「沈黙の共謀」と非難したことが思い起こされる。

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