80歳の加藤一二三さん、信仰者として自らの体験を語る 『だから私は、神を信じる』

今年80歳を迎えた将棋棋士・加藤一二三さんの最新書『だから私は、神を信じる』(日本キリスト教団出版局)は、自らの体験をとおして聖書とキリスト教の真髄を語る信仰書だ。これまでも将棋に関するいろいろな本の中で、自身の信仰やキリスト教について語ってきた加藤さんだが、同書はより深く踏み込んだものとなっている。

14歳でプロ棋士となった加藤さん。史上最速でプロ棋士最高峰のA級八段に昇格して以来、名人、十段、王位、棋王、王将のタイトルを獲得し、最年長勝利記録・史上最多記録対局数を記録する。2017年に現役を引退してからは、バラエティ番組など多数のメディアに出演し、「ひふみん」の愛称でも親しまれている。カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)では「結婚講座」の講師を務め、仙台白百合女子大学客員教授でもある。

写真提供:日本キリスト教団出版局

加藤さんがカトリック教会下井草教会(東京都杉並区)で洗礼を受けたのは今からちょうど50年前、30歳のクリスマスだった。当時、将棋人生に行き詰まりを感じ、何をしても空回りだった加藤さんだったが、洗礼を受けて、キリスト教の信仰を歩む者となってから、人生や将棋が大きく変えられたと告白する。同書はそんな加藤さんの信仰の道のりをたどる書でもある。

「聖書やキリスト教から教えられたこと」「聖書やキリスト教を伝えた人々」「人生をより良く生きるためには」の3章で構成され、加藤さんが、神様をどのように信じてきたのか、「祈り」や「秘跡」、「巡礼」といったものをとおして証しする。「本当にこんなことがあるの・・・?」というような奇跡としか言いようがない出来事を、神様への畏敬と感謝・謙遜をもって受け止める加藤さん。100ページほどの小さな本だが、神さまにすべてを委ね、信頼し、神様と共に歩んできた50年間の信仰が、聖書の言葉と共にぎっしりと刻まれている。

現役時代の対局のエピソードでは、次のように述べている。

「私は『将棋に勝たせてください』と祈ったことは一度もありません。ただ『良い将棋を指せますように』と祈ります。もちろんいくら祈ったからといって必ず良い将棋を指せるとは限りません。しかし、だからといって私の祈りや神さまの力に疑問が付されるのではなく、むしろそうした経験にも意味があると思っています」(31ページ)

各章の中には短いコラムもあり、リジューのテレーズなど聖人を駒にたとえたり、おすすめの音楽、文学、映画などを紹介したり、キリスト教を身近に感じるだけでなく、加藤さんが日常の中でどのようにキリスト教とかかわってきたのかを垣間見ることができる。また、冒頭には「用語解説」が掲載されおり、ノンクリスチャンだけでなく、カトリックをよく知らないプロテスタントのクリスチャンにも参考になる。

加藤さんの人生を変えたキリスト教。クリスマス・シーズンに多くの人に読んでほしい一冊だ。

加藤一二三著『だから私は、神を信じる
2020年9月25日初版発行
日本キリスト教団出版局
1200円(税別)

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