【クリスチャンビギナーズ】第1回 聖書について教えて!

こんにちは。新米クリスチャンのカサイと申します。
お目に留めていただき、ありがとうございます。
私は2016年に受洗し、クリスチャンになりました。両親がクリスチャンだったわけでも、キリスト教系の学校に通った経験もない私にとって、聖書や教会は未知の世界。
例えば、キリスト教書店(ちなみに、キリスト教の本だけを扱う書店があることすら知りませんでした)に行くと、ずらりと並んでいるさまざまな聖書。「こんなにたくさんある中から、どれを選んだらいいの? そもそも何が違うの・・・?」と棚を前に頭を抱えたくなったのは私だけではないはず。そこで今回は「聖書を読む会」の総主事で、昨年出版された『聖書協会共同訳聖書』の翻訳にも携わった島先克臣さんに、聖書にまつわるあれこれについて教えていただきました。

新共同訳聖書(下)と、聖書協会共同訳聖書(上)。※筆者私物です

Q.ひと言で「聖書」といっても、いろいろな種類があるんですね。

「そうですね。どれも同じ聖書を日本語に翻訳したものですが、個人の方が翻訳したものまで含めると、相当数の聖書が出版されています。一般的に読まれているものを挙げるなら、『文語訳聖書』、『口語訳聖書』、『新改訳聖書』、『新共同訳』、そして一番新しい『聖書協会共同訳聖書』でしょうか」

Q.それぞれの聖書について、詳しく教えてください。

「カール・ギュッツラフやバーナード・ジャン・ベッテルハイムという宣教師が聖書の一部を訳しましたが、聖書全体としては1887年に発行された『文語訳聖書』が初めてのものです。これは、宣教師を中心に日本人が補佐して翻訳されたもので、当時の書き言葉であった漢文を、日本語の口語に近づけて書かれた画期的な聖書だったんですよ。その新しい文体は、それ以降の日本文学に大きな影響を与えたといわれ、第二次世界大戦が終わるまでは日本のプロテスタント教会の標準聖書でした。戦後、書き言葉の変化に合わせて1955年に出版されたのが「口語訳聖書」です。それ以降、日本の教会の標準聖書も口語訳に変わっていきました」

Q.あんなに分厚い聖書を、わずか10年で翻訳し直したなんてすごい・・・! 「プロテスタント教会の」と限定されたということは、カトリック教会では違う聖書が読まれていたんでしょうか?

「カトリック教会では、戦前は主にエミール・ラゲ神父によって訳された文語訳聖書『ラゲ訳』、戦後はサレジオ会士で聖書学者のフェデリコ・バルバが翻訳した口語訳聖書『バルバロ訳』が標準聖書として読まれていました。また、2011年にはフランシスコ会聖書研究所が55年かけて翻訳に取り組んだ『フランシスコ会聖書研究所訳』が出版されています」

Q.聖書の翻訳には多くの宣教師や聖書学者が関わっているんですね。新改訳聖書、新共同訳聖書はどんな聖書ですか?

「1970年に第1版が出版された『新改訳聖書』は主にプロテスタント福音派の教会で読まれている聖書で、最新改訂版が2017年に発行されています。『新共同訳聖書』は、1960年代からプロテスタントとカトリックが一緒に聖書を翻訳しようという機運(エキュメニズム)が高まったのをきっかけに、18年かけて翻訳されたものです。この共同訳聖書が発行されたことで、長い間対立していたカトリックとプロテスタントが一つの聖書で礼拝できるようになりました。これは本当にすごいことなんですよ」

Q.なるほど。新共同訳聖書を取り入れている教会やキリスト教学校も多いようですね。最新版の聖書協会共同訳聖書についても教えてください。

「新共同訳聖書から31年の歳月を経て、プロテスタントとカトリックが共同でゼロから翻訳に取り組んで出版されたのが『聖書協会共同訳聖書』です。礼拝での朗読にふさわしい、格調高い日本語を目指しました。聖書学者の先生や日本語の専門家など、さまざまな方が翻訳に携わっています」

Q.聖書も、辞書と同じように改訂が必要なんでしょうか?

「はい。聖書が書かれてから2000年以上経っていますが、現在も研究が進んでいて、新しい事実が発見されることも少なくありません。また、言葉の変化も大きく影響します。例えば、新共同訳では“かもしか”と翻訳されていた動物が新しい聖書では“ガゼル”に、“狐”は“ジャッカル”に変更されました。これは31年前と比べ、日本人にガゼルやジャッカルが認知されたことによる変更ですね」

Q.ちなみに、聖書といえば世界で最も売れている大ベストセラーですが、現在までにどれくらいの冊数が発行されている(読まれている)のでしょうか?

「残念ながら、私はまったくわからないのです。数年前、アメリカで聖書の年間販売部数が2千万を超えたそうなんですが、そう考えると桁違いの冊数が世界で出版されていることになりますね。2018年の統計によると世界には7105の言葉があり、そのうち聖書が翻訳されているのは約半数の3362語。現在も約2600語への聖書翻訳プロジェクトが進行していて、2030~40年にはほとんどの人が母国語で聖書を読める時代になるといわれています」

Q.それは本当にすごいことですね! 最後に、初めて聖書を読む人にアドバイスをお願いします。

「もとは同じ聖書ですから、どれを購入されても間違いではありませんが、これから教会へ通おうと思っている方には、その教会で読まれている聖書を選ぶことをおすすめします。普段あまり本を読まない、読むのが苦手という方には、意訳してわかりやすく書かれた『リビングバイブル』や『ALIVE訳』から読むのもいいかもしれませんね。どちらもオンラインで読むことができます」

 

聖書協会共同訳聖書では、コーディネーターとして翻訳に携わった島先克臣さん

◇教えてくれた人
島先克臣(しまさき・かつおみ)さん
聖書をより深く読み解くための小冊子等を制作・販売する「聖書を読む会」総主事。初めて聖書を読む人には、創世記からヨハネの黙示録までを50ページにまとめた「神のご計画」(500円)がおすすめ
http://syknet.jimdofree.com/

 






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