山梨英和大学 本紙「寄稿」受け学生向けに初めて見解

本紙4月11日付に掲載された寄稿「『奉仕』という名の強要と欺瞞 私があるキリスト教学校の職場を去った理由」を受け、執筆者である洪伊杓(ほん・いぴょ)氏が宗教主任として勤務していた山梨英和大学(朴憲郁学長)は7月8日、「前宗教主任のキリスト新聞への寄稿について」と題する文書を学内に掲示した。学長名など、文責の記載は特にない。

同文書は、今回の説明に至るまで約3カ月を要した理由について、「ハラスメント事案についての調査が進行中のため結果をお伝え出来な」かったからとした上で、「少なくとも本学のハラスメント関連規程に基づいた公正な調査が進行中であることだけでもお伝えすべきだった」と謝罪。調査は、外部調査員2名を加えて「客観性・公正性を高め慎重かつ厳正に」行っており、結果が確定し次第「速やかに皆さんにお知らせいたします」と約束している。

また、同大学では「公正、適切、かつ健全な大学運営を行い、不十分な点については改善を進めてい」るとし、「この点については、どうか信頼していただきたい」「安心して勉学、研究、諸活動に励み、大切な学生生活を是非とも充実したものとしてくださいますようお願いいたします」と結ばれている。

本紙への「寄稿」をめぐっては掲載直後から、同大学の教職員、在学生、卒業生、他のキリスト教主義学校関係者などからさまざまな反応が寄せられ、実名、筆名による本紙への投書も相次いで掲載された。有志によって刷り出された当該記事が、学内に張り出されるという事態にも発展した=写真下

4月30日、5月13日には卒業生、在学生有志によって集約された100を超える意見文が大学宛に送られた。これらの意見は「すべて山梨英和大学卒業生・在学生ひとりひとりの、洪先生と同じく勇気に満ちた声」とし、「取りまとめに山梨英和大学の現教職員は一切関わっておらず、卒業生が主体となって募」ったと説明。「歴史ある山梨英和学院全体が、学生と研究者にとって個人が尊重され、互いに人格を認め合う信頼のおける機関になることを期待し」、「洪先生がおっしゃったように『言語による人種、民族差別、年齢による世代差別、地域差別』、その他あらゆる差別とハラスメントを我々は許さない」と改めて強調した。

しかし、その後1カ月以上を経ても大学からの公的な説明がなされなかったことから、6月26日に再度、関係各所に事実確認と説明責任を果たすよう求める意見文が送付された。これを受けて大学は学生向けに「一定の説明」をする上で、「教職員間で事実に関する合意形成が必要」との判断から7月3日、全教職員、法人の全職員を対象に緊急の説明会を開催。会では、学長名による文案が提示されたが、参加した教職員から複数の反対意見が相次いだため、大幅に修正した文面が8日に掲示される形となった模様。

大学側は当初、寄稿内容への反論と本紙への抗議文の掲載を要望していたが、後日、取り下げた。同時に「日を改めて正式に抗議を行う予定」との申し出を受けていたこともあり、本紙は法人事務局を通じて本件の取材について改めて依頼していたが、現時点までに応答はない。

【特別寄稿】 「奉仕」という名の強要と欺瞞 私があるキリスト教学校の職場を去った理由 洪 伊杓 2024年4月11日

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