心を元気にする聖書のメッセージ MARO著『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』

聖書は、クリスチャンにとっては神の言葉だが、その一方で、人類史上最大のベストセラーであり、今を生きるのに必要な情報がぎっしり詰まっている最上のメディアだ。本書は、そんな聖書から「喜びと安らぎ」をもたらす珠玉の言葉を選び、眠れないほどの不安や寂しさを抱える人たちに贈り、傷んだ心にやさしく寄り添い、明日への元気を与えてくれるコンパクトな好書。

著者は、「笑いながら聖書に親しんでもらう」をコンセプトに、ツィッターで連日面白ネタをつぶやき、10万人を超えるフォロワーをもつツィッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」まじめ担当のMAROさん。ツイッターだけでなく、『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』(講談社)、『上馬キリスト教会ツィッター部のキリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『聖書を読んだら哲学がわかった キリスト教で解きあかす「西洋哲学」超入門』(日本実業出版社)などの著者としても知られる。

仕事や人間関係のストレス、さらに長引くコロナ禍で悩む人に向けて、「眠る前に心が落ち着くようなキリスト教の話」をコンセプトに書かれた。MAROさんは、牧師や神父と呼ばれる聖職者ではなく一信徒だが、あふれる聖書愛と豊かな感性・知識力によって、聖書の世界を自由に軽やかに案内してくれる。MAROさんは、聖書について次のように述べている。

聖書が2000年変わらず読み続けられているのは、それが「人間が作り出すもの」に影響されず、「人間そのもの」について記されたほんであるからなんじゃないかと思います。変わらないものについて書いてあるからこそ、変わらなくても人間に力を与え続けられるれるんです。(184ページ)

日進月歩の科学技術も、飛び交う情報も作り出すのは人間。しかし、その人間の本質は、人類が生まれた時から変わらない。聖書はそのことをも示してくれるのだ。

「これで今夜はぐっすり眠れるかも…」「眠りそのものについて考える」「明日を元気にすることば」「ふっと心がラクになることば」の4章で構成。数々の聖書の言葉が出てくるが、それら一つひとつを、身近な出来事や日常の事柄に置き換え、不安を抱え、苦しんでいる人たちに向けて、分かりやすい温(ぬく)もりのある言葉で解き明かす。

仕事や人間関係のストレス、さらに長引くコロナ禍、悩みの要因はさまざまだが、その中で自分を追いつめることで、心をすり減らしてしまうのかもしれない。本書を読んでいると、「あなたは悪くない、自分を責めないで」という呼びかけが響いてくる。失敗したり、うまくいかなかったり、肉体的または精神的に弱い自分を責めたりしていないだろうか。そんな人たちにMAROさんは「あなたは悪くない、自分を責めないで」と繰り返す。

そして、「明日の心配は神様に任せておけばいい」「寂しがりなのは、自分が弱いせいではなく、神様がそのように造られたからだ」など、辛さや苦しみを全て引き受けてくれるイエス・キリストという存在を明らかにし、どんな自分であっても委ねることができるのだと伝える。励まし、元気を与えてくれる聖書の言葉と共に、深く暗い闇で一人で苦しまなければならない時であっても、自分を覚えていてくれ、委ねられる存在があることも本書は教えてくれる。

MARO(上馬キリスト教会ツイッター部)『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』
2022年3月12日初版発行
大和書房
本体800円+税

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