G7広島サミット 核廃絶、気候変動、食料危機…  教会はどう評価したか

2022年9月2日、ドイツ・カールスルーエで開催されたWCC第11回総会での抗議活動中、活動家らが気候危機への注意喚起を求めた。(写真=ポール・ジェフリー/WCC)

〝美しい言葉だけで子ども救えない〟
日本YWCAが遺憾の意「被爆地が利用された」

平和記念公園での各国首脳による献花、ゼレンスキー大統領の緊急来日など、いくつかのハイライトがありながらも被爆地での開催を十分に活かしきれないまま、5月19日から3日間にわたるG7広島サミット(主要国首脳会議)が幕を閉じた。核廃絶、気候変動、食料危機など、多岐にわたる議論と残された課題について教会はどう評価したのか。

サミットの閉幕を受けて日本YWCA(藤谷佐斗子会長、山本知恵総幹事)は5月25日、以下のようなコメントを発表した。


「静かに歩いてつかあさい」という詩があります。水野潤一さんが、原爆投下後の広島の街、現在の平和公園のことを詠んだ詩です。広島の街は、原爆投下によって14万人が殺されて亡くなった大きなお墓なので、街を歩く時には人々を想って静かに歩いてほしい、という詩です。今回の広島サミットでは、さすがにバタバタと無神経に走る姿は見られませんでしたが、首脳声明や「広島ビジョン」の記述、最終日の岸田首相の平和公園での記者会見は、それに等しい結果となりました。

核なき世界を追求するといいながら、核兵器禁止条約に一言も触れず、核兵器の非人道性にも触れず、ロシアや中国を非難するだけでG7参加国自身の核軍縮には一切触れないどころか自国の核兵器保有を正当化し、その抑止力の必要性を強調しています。加えて、ゼレンスキー大統領の突然の来日。彼にとってはウクライナへの支援を求めるには絶好の機会だったかもしれないけれど、和平ではなく軍事支援を話し合うなら、よそでやってほしかった。被爆地広島が利用されたとしか思えません。

日本YWCAは、核兵器による惨事を二度と繰り返さないために、平和の大切さを学び、平和な世界を実現したいと願い、1970年からほぼ毎夏、広島の地で平和学習を実施してきました。広島平和記念資料館の見学や平和公園内・外にある慰霊碑をめぐり、フィールドワークでは被害と加害の歴史を学びます。そして、必ず被爆者の方々の証言を聴きます。

そのつらく想像を絶する体験を話してくださる被爆者の方々の平均年齢は84歳を超えました。被爆から78年が過ぎても、その耐えがたい苦しみを語ってくださるのは、同じ苦しみを誰にも体験させたくないという想いからです。原爆死没者慰霊碑に献花して、「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」との言葉を胸に刻んだのであれば、1日も早く、努力目標ではない、核なき世界を実現するための具体的な道筋を示してほしいと思います。


世界教会協議会(WCC)を含め190カ国以上に6億人を超える宗教者を擁する六つの国際団体(グリーン・アングリカンズ、グリーン・フェイス、イスラミック・リリーフ・ワールドワイド=世界イスラム救援、ラウダート・シ運動、創価学会インターナショナル)は公開書簡を送り、化石燃料の段階的な廃止や、気候変動に対する資金提供に失敗したとして落胆を表明するとともに、さらなる行動を呼びかけた。

これらの宗教指導者たちは、気候によって引き起こされる干ばつや洪水などの異常気象が穀物に被害をもたらし、水が利用できる可能性を狭め、天然資源の利用を制限しており、それが土地や水・食料といった資源をめぐる社会紛争へとつながると指摘。これらの変化は、女性が性暴力や搾取の危険にさらされる原因にもなるという。「気候変動によって住処を追われた大多数の難民は脆弱な女性たち」と、グリーン・フェイスの常任理事であるフレッチャー・ハーパー牧師(米聖公会)は述べた。(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ、木内真理子事務局長)は、G7エンゲージメントグループの一つであるC7(Civil7/市民7)の日本側実行団体となる「G7市民社会コアリション2023」に幹事団体として参画し、事務局長の木内氏は共同代表を務めた。

WVJは公式サイトで、サミット期間中の活動を報告。世界で8億2800万人が飢餓に直面し、2億5800万人が緊急の食料支援を必要する状況において、「食料安全保障」が優先課題としてG7サミットで協議されたこと、その対応へのコミットメントが示されたことは希望だが、「美しい言葉だけでは子どもたちを救うことができない」と苦言を呈した。

ワールド・ビジョン・ドイツで食料・栄養問題アドボカシーを担当するフィオナ・ウエレンダール氏は、G7が食料安全保障に関する「広島行動声明」を発表したことは「重要な一歩であり、飢餓と貧困に苦しむ人々、特に子どもたちに速やかに支援が届く希望をもたらすもの」と評価する一方、「食料不足に速やかに対応できるよう、早期警報システムへの具体的な投資が必要。子どもの栄養改善への対応、中でも、消耗症(急性栄養不良)を特定し治療するための取り組みへの投資を拡充する必要がある」と指摘している。

G7広島サミットに向け 各首脳宛てに日米4教区が共同宣言文 2023年5月19日

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