虐待の連鎖は避けられない? 村上純子 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.親から虐待を受けて育ち、自分もいつ子どもに暴力をふるうかと恐れています。やはり「連鎖」は避けられませんか?(30代・女性)

あなたの恐れ、不安は、もっともなものだと思います。しかし結論から言うと、虐待の連鎖は決定的ではありません。虐待を受けた人がみな自分の子どもを虐待するわけではありませんし、虐待を受けたことのない人が虐待してしまうケースも多くあります。「連鎖」は避けられます。

私たちにとって子育ての一番身近な手本は、好むと好まざるとにかかわらず、自分の親です。あなたの親御さんが暴力で子どもに関わってきたのなら、あなたにとってもその方法が一番慣れ親しんだ方法になってしまっているかもしれません。

しかし、あなたはそうしたくないと思っている。であれば、それをやめることはできます。大切なことは、今あなたが「自分は虐待してしまうかもしれない」ということに気付いていて、それを何としても避けたいと思っているということです。

子どもを虐待してしまう可能性は、誰にでもあります。どんな親でも、気持ちが追い詰められて、自分を責め、子どもを責めていけば、子どもを虐待してしまうかもしれないのです。そのことを知っておくことは、とても大切なことです。

虐待してしまう人としない人の違いは、育ち方よりも子育てをしている環境です。一人で孤立していないか、誰かに助けてと言えるか、助けを求めたときに誰かが手を差し伸べてくれるか、子育ての苦労も楽しみも一緒に分かち合ってくれる人がいるか、です。

子育ては楽しいことばかりではありません。どうしたらいいのかわからなくなったり、つらくて子どもがかわいいと思えなかったりする時もあります。子どもへの愛情があっても、「もう我慢できない。逃げ出したい。この子がいなかったらどんなに楽だろう」と考えてしまうことだってあります。

そんなときに自分を責めてしまうのではなく、誰かに助けてもらってください。子どもさんにとって、母親はあなたしかいません。迷いながらでかまいませんから、できることを一つずつやっていってください。

 むらかみ・じゅんこ 慶応義塾大学文学部人間関係学科心理学専攻卒業。アメリカ・ホイートン大学大学院臨床心理学科修士課程、聖学院大学アメリカ・ヨーロッパ文化学科博士課程修了(学術博士)。中学校、高校のスクールカウンセラーを経て、現在、聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科教授。公認心理師・臨床心理士。カウンセリングオフィスお茶の水にて心理相談も行う。

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