1月13日 天の国は力ずくで襲われており、激しく襲う者がそれを奪い取ろうとしている。  マタイ11章12節

天の国は力ずくで襲われており、激しく襲う者がそれを奪い取ろうとしている。
マタイ11章12節(参考聖書箇所同書11章7〜19節)

 天の国とは、神の国のことで、神が支配をされるという意味です。人の支配がすべてであるようなこの地上の世界では、神の支配は、あたかも邪魔もののようにしか思われません。人が世界を支配しようとすると、いつの時代でも、神は大きくのしかかる天蓋のように思われて来ました。天の国に代わって人の国を打ち立て、この世を自ら支配するには、天の国があっては困るかのように、これを押しのけようとして、人間はイエスの時代から今日に至るまで、神に立ち向かってきました。
人間が自由にこの世を支配するためには、いつも神は目の上のたんこぶのような存在ということです。神を排除しない限り人間は、この世に対する主権を確立できないということであります。神は皮肉なことには人間にとって、なにをするにもついて回る困り者ということであります。逆説的にいえば、神を相手にしないでは、何事も進まないということです。
しかし考えねばなりません。人の支配を立てようとして、人間が神の国を攻撃するのをそのままに赦されるのも神です。その意味では、天の国が力ずくで襲われることをそのまま赦しておいでになる神の懐の深さを見るのではないでしょうか。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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