Q.礼拝で新来者のために親切な説明を心がけたいのですが、流れを妨げるのではないかと心配です。(50代・教会役員)
あなたのように、新来会者を心から気遣っている方がいることをうれしく思います。キリスト教学校に仕える宗教主任の立場ですので、日曜日にはいろいろな教会に説教者としてお招きいただきます。牧師なのだからどこの教会にいっても困ることなどないだろうと思われるでしょうが、これがおおありなのです。
同じ教派でも、教会ごとに伝統や状況は違います。そのため、礼拝のプログラムや習慣も結構違います。時々心細い思いや恥ずかしい思いをしています。ましてやまったく初めて教会に来た方は、どんなに大変だろうと想像します。
先日もこんなことがありました。その教会では賛美歌を歌う際、前奏は着席のまま聴き、一番を歌い出す直前に起立する習慣でした。これについては事前にうかがっており途中までは順調でしたが、説教後に少し緊張が緩んだのでしょう、何となく視線を感じて気づくと全員がまだ着席している中私一人が壇上で立っており赤面しました。
もっとも、この教会では礼拝前に礼拝の手順を記した紙を頂戴し、丁寧に説明してくださいました。これにはとても感心しました。私は壇上にいたので失敗してしまいましたが、これが会衆席で、隣の方がちょっと気遣ってくださるなら何も問題はなかったと思います。
礼拝の流れを妨げるのではというご質問は、もしかすると司会をする際の心配かもしれませんね。確かに司会者も新来会者を気遣う必要があると思いますが、司会者だけでは無理があります。受付での対応、配布物、周囲の人の対応など、さまざまな面から新来会者に優しい工夫をしたいものです。
それにはまず、新来会者がどんな点で困るのか知ることも大切です。自分たちには当たり前のことも、初めて来た方にとってはそうではありません。プロテスタントとカトリックなど、教派による習慣の違いはなお大きいものです。旅行や出張の際などに、積極的にいろいろな教会に出席してみてはいかがでしょう。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了