くじ引きは意外と合理的?【聖書からよもやま話553】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  旧約聖書、ヨシュア記の14章です。よろしくどうぞ。

ヨシュア記 14章1〜2節

イスラエルの子らの部族の一族のかしらたちは、その地を彼らに相続地としてくじで割り当てた。

(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

人が集まれば必然的に「決めなければならないこと」が生じてきます。それらには大小様々なものがありますが、部族の割り当て地はその中でも非常に大きなものと言えるでしょう。だってそれは現在日本にたとえるなら県の領域を決定するようなもの、アメリカにたとえるなら州の領域を決定するようなものです。それを彼らはくじ引きで決めたというのですから驚きです。「そんないい加減な決め方でいいの!?」と突っ込みたくなります。学校の給食係や生き物係を決めるのとはわけが違うんです。豊臣秀吉や徳川家康は大名の領地を半ば一方的に決めましたが、それだって秀吉や家康、その参謀たちが様々な事情や思惑を織り込みつつもちゃんと考えて決めたものです。くじ引きで「えいっ」と決めたわけではありません。そんなことをしたら天下は乱れに乱れ、安定した江戸の世なんて訪れなかったことでしょう。

しかし、どうも聖書の時代の人々にとっては、くじ引きというのは現代の僕たちが考えるよりもはるかに公平な決定方法であると考えられていたようです。それはくじ引きが人間に操作できないものであるからです。人間の力が影響しない=神の領域ということですから、「神様にお任せして神様が決めたことならみんな従う」という感じだったようです。特にイスラエルの民は神様に対する気持ちが強いですからそのようにしていました。決していい加減な気持ちで「くじでよくない?」と決めたわけではありません。

それによく考えてみれば、世の中にはいくら話し合っても答えの出ない問題というのはあります。どう決めても誰かが大きな不満を抱くような問題が多々あります。そんな問題なら、あーでもないこーでもないと何年も何十年も結論を出せずに話し合い続けるよりはくじ引きで「えいっ」と決めてしまった方が効率的だとも言えるかもしれません。むしろくじ引きの方が話し合いよりも「あいつのせいで俺は損をした」と憎しみの矛先が明らかになりにくいですから後の争いも防げたりするのかもしれません。

僕たちの日常にも様々な決定がありますが、いくら考えても答えがでないときは「えいっ」とくじやサイコロなんかで決めてしまうのも一つの手です。そのことに悩み続けてずっと行動ができないくらいなら、サイコロで決めてしまってすぐに行動する方が良い場合もあるでしょう。その方が後で失敗しても後悔は少ないかもしれません。

・・・とはいえ、なかなかそんな度胸も決まりませんよね。実は最近、引っ越そうかなーなんて考えてもいるのですが、引越し先を「えいっ」とくじ引きで決めてしまう気持ちにはなかなかなれません。もしかしたら、もっと考えを進めた上で2〜3の候補まで具体なきな案が絞れて、その候補の中で心が揺れ動くような事態になったら、そのときは「えいっ」とするかもしれませんが。

みなさんも悩んで悩んだ末にどうしても決められない問題があったら、いかがですかくじ引き。

それではまた。

主にありて。

MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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