大浦天主堂など長崎・天草の「潜伏キリシタン遺産」、世界文化遺産へ

 

遠藤周作『沈黙』の舞台である外海(そとめ)や、現存する国内最古の教会である大浦天主堂(国宝、長崎市)など、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録される見通しとなった。登録の可否を事前審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が「記載が適当」とユネスコに勧告したことを、文化庁が4日、発表した(評価結果は、登録を促す「記載」、追加情報提出後に再審議する「情報照会」、推薦書の再提出を求める「記載延期」、登録に相応しくないとする「不記載」の4段階)。6月24日から7月4日に中東のバーレーン・マナマで開かれるユネスコ世界遺産委員会の最終審査で正式に登録が決定する予定。

大浦天主堂(写真:STA3816)

その構成資産は、次のように大きく4つに分けられ、12の場所が挙げられている。

1、潜伏キリシタンの契機となった「島原の乱」(1637~38年)が起こった。

①原城跡(長崎県南島原市)

2、潜伏キリシタンが密かに信仰を維持するため、さまざまなかたちで他宗教と共生を行った集落。

②平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳〔やすまんだけ〕)(同平戸市)
③平戸の聖地と集落(中江ノ島)(同)
④天草の﨑津集落(熊本県天草市)
⑤外海の出津(しつ)集落(長崎県長崎市)
⑥外海の大野集落(同)

3、信仰組織を維持するために移住を行った離島部の集落。

⑦黒島の集落(同佐世保市)
⑧野崎島の集落跡(同小値賀町)
⑨頭ヶ島(かしらがしま)の集落(同新上五島町)
⑩久賀島(ひさかじま)の集落(同五島市)
⑪奈留島(なるしま)の江上集落(江上天主堂とその周辺)(同)

4、1865年に潜伏キリシタンがこの教会にやって来て、禁教以来250年ぶりに信徒が発見された。

⑫大浦天主堂(長崎市)

2001年に民間団体「長崎の教会群を世界遺産にする会」が発足し、長崎県では07年から世界遺産登録を目指していた。政府は15年、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として推薦したが、16年、イコモスから内容の見直しを指摘されたため、禁教期に焦点を絞り、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」と名称も改め、昨年、推薦書を再提出した。最初、30以上の歴史ある教会も構成資産として候補に挙げられていたが、外れた。

日本では1993年に「姫路城」(兵庫県姫路市)などが初めて世界文化遺産に登録され、その後、「原爆ドーム」(広島市)や「富士山」(静岡県、山梨県)が続いた。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録が決定すれば、日本の世界文化遺産として18件目となる。

 






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