「キリスト教一致祈祷週間」は、同じキリストを唯一の救い主と信じながら分裂している教会の一致回復を求め、カトリックとプロテスタントが毎年合同で、教会・教派を超えて心を一つにして祈る期間。「すべての人を一つにしてください」(ヨハネ17:21)と最後の晩餐で祈られたイエス・キリストの心を大事にし、同じキリスト者として共に祈り、分かち合い、一致の精神を示すことを目的としている。
「アトンメント(和解)のフランシスコ会」創立者のポール・ワトソン神父がすべてのキリスト教会の一致を願い、1908年1月18日から25日まで、8日間の祈りをささげたのが始まり。16年、ローマ教皇ベネディクト15世が全世界の教会に、同週間を守るようにという教書を公布した。
11世紀、東西教会の分裂(大シスマ)でカトリックと東方正教会が分かれ、16世紀、宗教改革によってカトリックとプロテスタントが分裂した。これは、一致を説きながら分裂しているという、教会の抱える自己矛盾であり、宣教の大きな障害になっている。19世紀、プロテスタントによる世界宣教においてその問題が痛感され、エキュメニカル(教会一致)運動が始まった。カトリックも第2バチカン公会議(1962~65年)でエキュメニズムについて討議し、「エキュメニズムに関する教令」が布告された。その成果は、日本でも『新共同訳』、そして昨年末に出された『聖書協会共同訳』などに見ることができる。
「キリスト教一致祈祷週間」も1968年以降、教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)と世界教会協議会(WCC)がテーマとプログラムを編纂(へんさん)している。日本では、カトリック中央協議会と日本キリスト教協議会(NCC)が毎年、世界教会協議会(WCC)信仰職制委員会とカトリック教皇庁キリスト教一致推進評議会が準備した「礼拝式文」と「8日間のための聖書と祈り」を翻訳し、小冊子にして全国の教会に配布している。
「キリスト教一致祈祷週間」で使われる資料は毎年、各国から選ばれた諸教会が協力して作成する。今年は、インドネシア教会連合(PGI)とインドネシア・カトリック司教協議会(KWI)により編成されたインドネシアのエキュメニカルなグループが担当。次のような招きの言葉が記されている。
「毎年、世界中のキリスト者は、自分たちが一致のうちに成長するよう祈り求めながら集います。腐敗や貪欲、不正により不平等と分裂が生じている世界のただ中で、私たちは集います。この祈りは、分断された社会の中でささげる一致した祈りです。これほど力強い祈りがあるでしょうか。しかし私たちキリスト者は、個人としても共同体としても、しばしば不正な行いに加担してしまいます。それでも私たちは、一致のうちに正義を証しし、この傷ついた世界を癒やすキリストの恵みの道具となるよう、共に招かれているのです」
NCCはこう呼びかける。
「教会の一致を求め、またこの世でのキリストの証しに生かされることを祈り求めてまいりましょう。今年は特にインドネシアの教会を覚えて祈ります。どうぞすべてのインドネシアの人々の尊厳が守られますように、またインドネシアの教会が、世の光、地の塩となることができますように、お祈りください」
「キリスト教一致祈祷週間」にちなむ行事は全国各地で行われる(詳細はこちら)。
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