この流れを率いているのは、独特な祈祷で有名なホワイト・ケイン師だ。トランプ大統領の牧師を20年来務めるホワイト・ケイン師は、2019年には正式にトランプ大統領チームの一員となった。ロックバンド「ジャーニー」のジョナサン・ケインを夫に持つことから、同バンドのヒット曲「Don’t Stop Believin ‘」や「Faithfully」が話の引き合いに出されることも多い。ジョナサン氏は(トランプ応援)イベントでも、自ら作曲した「フリーダム・イン・ユア・グレース」を演奏している。
トランプ陣営には、フランクリン師などの福音派著名人のほか、全米ヒスパニック・クリスチャン会議のトニー・スアレス副会長も加わっている。スアレス氏は今年4回、福音派トランプ支持集会に参加している。
The campaign has also enlisted fellow evangelical advisers and pastors like Franklin, whose son now works for the campaign; National Hispanic Christian Leadership Conference executive vice president Tony Suarez, who has joined four Evangelicals for Trump events so far this year;[/toggle]
(イベントで開会祈祷を行った)チャック・アレン牧師はこのイベントがきっかけで、近々行われるフェニックスでの選挙イベントにも参加することになった。福音派は、これらのトランプ支援イベントをこれまでより広い層をターゲットにしてきた大規模集会とは異なる方法でおこなっており、大会の冒頭には招詞(しょうし、礼拝で行われる聖書朗読)や馴染みのある賛美音楽演奏を行っている。(コロナ対策が)対立軸となる場面が多くみられる選挙の年、先日のジョージアでの大会はイベント会場の屋外で開催され、信仰と政治観を共有する平和な雰囲気に包まれていた。暴動の予兆も不穏な空気もなければ、叫び声やブーイングが上がることもない。
「This is Amazing Grace」や「Way maker」などの曲を演奏したのはアレン牧師が牧会を行っている単立教会(礼拝出席4500人ほど)のバンドだ。互いに数メートルの距離を取って設置された椅子に座った出席者たちは、音に合わせて体を揺らしていた。
Attendees, seated in folding chairs spaced a couple feet apart, slowly swayed as they sang along to “This Is Amazing Grace” and “Way Maker,” performed by a stripped-down worship band from Allen’s church, a nearby nondenominational congregation with 4,500 attendees.[/toggle]
福音派指導者たちがトランプ政権の成功に焦点を当てて演説をするなか、エリック・トランプ氏は「過激な」抗議者たちが米国中の都市で暴動を起こしたことや、私有企業が教会よりも優先的に活動が再開できるような対応をとった一部の州を批判した。
警察のことが話題に上ったことで、会衆からは4回のスタンディングオベーションが起こった。 最近の抗議活動のきっかけとなった(警察官による)黒人アメリカ人に対する暴力行為へ唯一言及したのはフランクリン師だ。フランクリン師は「私たちがトランプ大統領を応援しているからといって、黒人男性が路上で殴られ、窒息するまで首を絞められているのを平然と眺めるような人々だとは限らないではないか。私は正しさと公平さは両方とも大事だと信じている」と語り、(人々の間に)分断が起きているかのような取り扱いに対して不快感を露(あら)わにした。
雰囲気が穏やかに感じられたのは天候のせいもあるかもしれない。日差しもおだやかで、あたりにはさわやかな風が吹いており、気温もおよそ21度と近日では最も涼しかった。開会の祈りでは「神が祝福として与えてくださった」天気についても言及があった。
There were four standing ovations for law enforcement, who were present at the event as security. The only reference to violence faced by black Americans—the inciting incidents leading to the recent protests—came from Franklin, who expressed frustration at false divisions: “It’s like if you’re for President Trump … that means you’re automatically not upset if you see a black man being beaten or choked to death in the streets. I stand for both. I stand for justice and righteousness.”
Perhaps the weather helped things feel particularly peaceful too. It was the coolest day all summer in the area—overcast, breezy, and 70 degrees. The invocation prayer referenced a “God-ordained” forecast.[/toggle]
やがて小雨が降り始めたときも、参加者は座ったまま拍手をしていた。エリック・トランプが次の選挙イベントに向かうために建物の側面からこっそりと出てきた際には拍手をしたり手を振る様子も見られた。閉会の際には「アメリカ国民の命、信仰、そして自由を守るための投票が行われるように」という祈りがささげられ、同意の相槌を打つ声がささやかれた。
このトランプ集会では、喧嘩っ早いことで有名な大統領の優しい側面が強調され、トランプ大統領の収めた数々の政治的勝利に合わせて、彼の信仰や家族にまつわる逸話が紹介された。ホワイト・ケイン師は、(トランプ大統領の提案で)コロナ・ウイルスという「悪」に立ち向かう祈りをささげた。エリック氏は、トランプ大統領が選ばれた2016年当時「(父はまだ)まったく政治のことを分かっていなかった」と述べつつ、家族一丸となって従事し、「神様がここまで導いてくださった」と語った。
The Evangelicals for Trump events emphasize a softer side of the notoriously combative president, with stories about the president’s faith and family alongside lists of political wins. White-Cain said “it was his idea” to call for prayer against the “evil” of coronavirus. Eric admitted that the Trumps went into the 2016 campaign “not knowing a damn thing about politics,” but they worked together as a family and “God got us here.”[/toggle]
アレン牧師は熱烈なトランプ支持者だが、大統領がもつ保守的な政治方針と、いじめっ子のような彼の評判との間には一線を引いて捉えるべきだとも考えている。
2年前のメキシコ国境騒動と昨年のハリケーン「ドリアン」後のバハマ訪問中にトランプ氏のチームと近しい関係を築いたアレン牧師だが「福音派はトランプ大統領に頭を悩まされています」と語る。「彼には思いやり深い面があると私は思っているし、他の人にも彼のそんな姿を見ることができればいいのにと思いますが、彼にはあまりに多くの怒りがまとわりついているんです。」
アレンは、自らが牧師を務めるシュガーヒル教会(ブルーカラーの労働者が多く在籍している単立教会)ではおよそ「トランプ支持が60%、トランプ不支持が40%」だと推定するが、最近はトランプ支持派が主張を強めているという。
(多くの)シュガーヒル教会メンバーはトランプ政権下の経済的恩恵を受けており、ここ数ヶ月の困難な時期にあっても、多くの案件を引き受け、高い売上を誇っている、とアレン牧師は語る。 (同教会のあるジョージア州全体の失業率は5.6%まで低下しており、全国平均よりも低い。)その結果、教会はミニストリーを拡大させ、新たな礼拝所を立ち上げ、パンデミックに苦しむ人の家賃援助や食事の分配を通じて何百人もの人をサポートすることができた。
“President Trump doesn’t make it easy for evangelicals,” said Allen, who built a rapport with Trump’s team during visits to the Mexican border two years ago and to the Bahamas after Hurricane Dorian last summer. “I wish you could see a more compassionate Trump that I believe sincerely exists, but there’s just so much bluster around him.”
Allen estimates that his nondenominational, blue-collar congregation, Sugar Hill Church, is about “60 percent Trump and 40 percent anyone-but-Trump,” but the Trump faction has become more eager to take a stand.
Sugar Hill, he said, has benefited from a Trump economy, its members boasting more jobs and more sales, even in recent months. (The statewide unemployment rate has fallen back down to 5.6 percent, better than the national average.) As a result, the church has been able to expand its ministry reach, launching new worship sites and supporting hundreds of families with rent assistance and meal distribution during the pandemic.[/toggle]
(3に続く)
執筆者:ケイト・シェルナット
本記事は「クリスチャニティー・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。翻訳にあたって、多少の省略をしています。