負傷したパレスチナ人を救うために 「アハリー・アラブ病院を支援する会」

 

パレスチナ自治区の中心都市ガザ。そこにある聖公会系のアハリ―・アラブ病院の責任者から先月初旬、緊急献金要請のメールが「アハリー・アラブ病院を支援する会」事務局(東京・西早稲田)に届いた。内容はとても緊迫したものだった。

「ガザ住民の健康を守る権利に対する重大な侵害が続いている」と始まる要請文には、ガザ地区の現状が記されていた。

死者数は日に日に増し、5月14日だけでも58人が命を落とし、負傷者は2700人を超え、そのうち1360人が被弾している。同病院では24床を増設し、緊急事態に対応すべく医療スタッフを新たに雇い入れた。ガザの大惨事に十分に対応するため、緊急用薬品、医療品、発電機の燃料などを購入する資金が必要だという。献金希望金額は日本円でおよそ700万円。

200万人を超えるパレスチナ難民の生活は、度重なる紛争や事実上の国境閉鎖、隣国からの輸出入制限によって、悪化の一途を辿(たど)っている。さらに、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館を同地に移転したことで、さらなる混乱が続く。

アハリ―・アラブ病院が教会宣教師協会によって設立されたのは1882年。そして、1982年にはエルサレム管区の奉仕事業の拠点となり、同地区でパレスチナ人の自主運営による唯一の病院となった。当時、140万人にいたとされるガザ地区の住人のうち、キリスト教徒は約2500人ほどだったが、質の高い医療を提供している病院として評価を受けていた。6割以上が難民キャンプに暮らすというコミュニティーにあって、信仰、性別、人種などにかかわらず、最も暮らしが困難な人々に仕えてきた。

日本で「アハリー・アラブ病院を支援する会」が立ち上げられたのは1991年。日本基督教団社会委員会が中心となり、支援を呼びかけたのがきっかけだ。その後は市民活動として、信仰の有無にかかわらず、多くの人々が協力している。1年間に集まった献金を毎年クリスマスシーズンに送金するのが主な活動だ。事務局の担当者である星山京子さんと新名知子さんによると、最近では送金するのも一筋縄ではいかないほど、現地の情勢は混乱しているという。

在日パレスチナ人の男性は、本紙のインタビューに対し、こう答える。

「世界では、みな『自由』を謳(うた)う。しかし、パレスチナを見てくれ。パレスチナには自由がない。会話すら自由にできない。SNSもチェックされている。街中に検問所がある。パレスチナから目を背けないでほしい。僕にとっての希望は、日本のようにパレスチナにも自由が与えられること。戦時中の日本には自由がなかった。それでも、70年経った今を見てほしい。何を食べるのも、どこに行くのも、何を言うのも自由。こんな国にパレスチナもきっとなれると信じている」

星山さんは言う。

「アラブの歴史は、私たちに全く関係のない世界の話ではありません。パレスチナの人々は長く戦争により傷ついてきました。そして、今もなお住む場所を失い、戦火におびえる人々が大勢います。私たちは彼ら/彼女らを見捨てることはできません」

同会では、不定期だが会報を発行している。おもに、今まで献金してくれた支援者へ宛てるものだが、今回、6月には緊急事態を鑑み、号外を発行して支援を呼びかける予定だ。今まで支援をしていない人も、メールかファックスで問い合わせれば、会報を送ってもらえる。同封されている振込用紙を使えば、手数料無料で全額が病院の支援に充てられるという。

また、「パレスチナオリーブ」のオリーブ油の販売も行っており、金額の一部が病院への献金となる。香りのいいオイルは、リピーターもいるほどの人気。西早稲田にあるキリスト教事業所連帯合同労働組合内で直接購入できるほか、郵送での購入も可能。パレスチナに関する現地からの情報などを交えた勉強会などへの講師派遣、同事務所内でのアラビア語講座なども行っている。

病院責任者のスハイラさんはこう呼びかける。

「もともとエルサレム周辺は、そこを聖地とするアラブ人、ユダヤ人、そしてクリスチャンが仲良く暮らしていた場所。しかし、いつの間にかその聖地をめぐって血を流す戦いが始まり、現在に至ります。聖地のために命を落としたり犠牲になったりする人がいることをイエス様は喜んでいらっしゃるでしょうか。祈ること、そして、少しでも現状を知ってほしい」

アハリー・アラブ病院を支援する会
東京都新宿区西早稲田2-3-18
キリスト教事業所連帯合同労働組合気付
問合せ Fax: 03-3207-1273(担当:星山・新名)
メール ayyam_ahli@yahoo.co.jp
(振込先)
口座名義:アハリー・アラブ病院を支援する会
郵便振替口座:00150-7-601525

 






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