27日未明、女優の竹内結子さん(40)が自宅で亡くなった。各社の報道によると、自死とみられる。ここ2か月間で、俳優の三浦春馬さん、芦名星さんなど芸能人の自死が相次いでいる。原因などは明らかにされていないが、コロナ禍で日本全体に閉塞感が漂う中、心を病んでしまう人は、芸能界に限らず今後も増加することが予想されている。
精神保健福祉士の日本キリスト教団京葉中部教会の会員の山本充枝さんに話を聞いた。山本さんは「いのちの電話」でボランティアとして活動したことをきっかけに、その後カウンセリングの学びを継続し、15年間電話相談に従事してきた。現在は、千葉県内の相談機関で仕事をつづけている。
一般社団法人日本いのち電話連盟のHPによると、昨年、全国にあるいのちの電話には約62万件の相談が寄せられている。年代別に見ると、40代、50代からの相談が突出して多い。電話を受ける相談員は、セミナーを受け、その後、ボランティアとして活動をする。
--いのちの電話には、どんな相談がかかってくるのですか?
自死を匂わせるものもあれば、そうでないものもあります。すでにナイフや縄など自死をするための道具を用意した上で電話をしてくる人もいたり、ただ話を聞いて欲しいという人も中にはいるように思います。
--切羽詰まったような方には、どんな声をかけるのですか?
例えば、「縄を用意している」といったような話があった時には、「そうですか。それはいつ、どこで買いましたか?」とか「今日はご飯を食べましたか」といったような声かけをします。そうすることで、「死のう」と思っている気持ちを現実に戻すような作用があるように思います。
--それでも、「死にたい」といった場合は?
基本は、「私はあなたに死んでほしくない」という言葉をかけます。「あなた子どもがいるんでしょう?あなたが死んだら子どもが困るわよ」というような言葉は、かえってその人を追い詰めてしまう言葉になってしまいます。全く知らない電話越しの相手ですが、それでも「私は、あなたに死んでほしくない」と話すことで、その場は気が鎮まるようです。本当に不思議なのですが、そうした経験を何度もしました。
--自死を選んでしまう人は、どんな心境なのか想像はつきますか?
原因はいろいろだと思います。経済的なこと、仕事のこと、人間関係などに悩み、精神的な病を発症してしまい、発作的に死んでしまう場合が多いのではないでしょうか。芸能人の場合は、なかなか心療内科を受診できないなどといった事情もあるでしょうね。いのちの電話に電話をしてくる人は、思い悩んで、死にたいと思っていても、その最後の余力を生かして電話をかけるのだと思います。
--自死を減らすにはどうしたらよいのでしょうか
やはり人とのつながりだと思います。今は、福祉関係の窓口が各市町村たくさんあります。その一つでいいので、何か悩んだら相談をしてもらうのが良いと思います。生きてさえいれば、何かできることがあると思います。最近では、SNSなどを介した相談窓口もあるようです。若い人たちは、そのほうが相談しやすいのでしょうね。オンラインでもよいので、人とつながって、とにかく相談してみるという勇気をもってほしいと思います。
いのちの電話
(0570)783556 午前10時~午後10時
(0120)783556 午後4時~午後9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時
こころの健康相談統一ダイヤル
(0570)064556 対応の曜日・時間は都道府県により異なる
よりそいホットライン
(0120)279338 岩手、宮城、福島各県からは(0120)279226 24時間対応
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