【書店員日記】 「エッサイの木」1周年と上原一茂さん 「頑張って行きましょう」 大越美穂

仙台キリスト教書店から「エッサイの木」となって1年が経ちました。まずは年末、まずは半年、とおっかなびっくりの歩みでした。

昨年10月1日の開店の朝、書店の元役員の上原一茂さん(日本キリスト教団出版局)=写真=がメッセージをくださいました。「『エッサイの木』開店の日を迎えましたね。おめでとうございます。いよいよスタートですね。これまでのご苦労によって、良き道が開かれたと信じています。全て備えて下さった神さまに感謝します。今後について不安もいっぱいでしょうが、力を合わせて頑張って行きましょう!」

上原さんは版元のご担当者として、書店や教会、学校をつなぐ働きを担われていました。地方の小さな教会や書店の現場の苦労もよく理解しておられました。この「頑張って行きましょう!」は、「頑張ってください」でも「頑張ろう」でもない、上原さん独特の言い回しだと思います。悩みながら、毎日を精一杯生きる私たちを、神さまは知っていてくださる。だから、くじけたりする日があっても、諦めずに歩いて行くことができる。肩ひじを張らず、しなやかに。

上原さんは、病をおして仕事を続けておられました。春の新入学用品の準備は、年明けから上原さんと電話やメールで打ち合わせをしながら準備を進め、ハラハラの年度替わりを一緒に乗り切ることができました。今年6月の仙台キリスト教書店の清算総会には仙台へ行く、とご家族に話されていたそうです。その後、病状が悪化し、残念ながら御許(みもと)に召されました。新しくなったお店を直接ご覧いただくことは叶いませんでしたが、仙台の書店を心にかけて祈りつつ関わってくださった、その思いを今後もつないでまいります。

書店の1年は本当にあっという間です。たくさんの失敗や反省もありました。それでも、書店を繰りまわすためのさまざまな経験は、いつか豊かな宝物になることでしょう。今は行く先が見えなくても、善き力に不思議に守られていることが、分かる日が来るだろうと思います。全国のキリスト教書店の皆さま、それぞれの地で、ともに〝頑張って行きましょう〟。

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