感謝と少しの安堵感~書店を閉店する者として(2) 亀岡 徹 【書店員日記】

店の閉店を決議した2024年3月の総会後、さまざまな集会への出店とともにお時間をいただき説明させていただきました。発送物にお手紙を添えたりもしました。いつもうかがうお客様には手渡しで、経過についてお話しさせていただきました。こっそりとレジのところに来て、「ちょっと噂で聞きましたがホント?」と小さな声で尋ねるお客様もいらっしゃいました。

残念さを伝える言葉を多くいただきました。いつも決まった曜日に見えられ、とても難しい神学書を買い求める方から「今度どこで買ったらいいでしょう?」と問われました。その方は、来られると1時間近く店でじっくり書籍を探されます。今回のことで初めてお話しする機会が与えられました。牧会者ではなく一信徒として勉強されているそうです。

「オアシス札幌さんに積極的に新刊を並べていただくように勧めますね」とは言ったものの、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただただすみませんと頭を下げるばかりです。そんな風にお買い物してくれるお客様は数少なくなったので、感謝するばかりです。

6月に入り、少しずつ常備の書籍の返品を始めました。社会問題をいろんな方面からアプローチしている明石書店のラインナップは、この店のカラーです。近くにある紀伊国屋書店さんより多いとのお褒めの言葉をいただいたこともありました。キリスト教関係の常備書籍が少ない中、今回の明石書店の常備450冊(棚2列)を昨年の7月から預かりました。アイヌ関連、イスラーム関係、児童虐待関連など多種多様な書籍を約1年間に15冊販売しました。よく売れた方だと思います。問題多き今の社会において、まだまだ意識をもって学んだり本を買い求める方がいることを感心してしまいます。書店の必要性は、そんなところにあるのかと改めて考えました。

(かめおか・とおる=北海道キリスト教書店)

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